主人公マルチェロの、過去を打ち消したい生き方が痛々しい作品。
少年の頃に大人の男性に襲われそうになったトラウマから、罪悪感や戸惑い、後悔と否定が人生を支配します。
ファシズムへの傾倒も、世間的に様子の良い娘と婚約するのも本心ではなく必死に足掻いているだけに見えました。
そして上層部よりくだされた命令により、彼はより迷走していきます。
あまりにも美しいドミニク・サンダ演じるアンナの魅力に屈服しながらも、最後まで自分を生きることが出来なかったマルチェロ。
なんと悲しくて孤独なのでしょうか。
そして、それを引き立てる映像美が完璧でした。