いの

暗殺の森のいののレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.1
青い場面はフランスで現在、白い場面はイタリアで過去回想ということらしいけど、映画は赤(ネオン)で始まって赤(主人公の顔のアップ)で終わる。予想していたのより、映画は硬いように感じた。勝手に最高級のシルクのような肌触りの映画だと思い込んでいたから。堅くて窮屈な印象を受けた。それは、自分で自分を檻の中に入れた主人公の心のうちがそうだからなのかもしれない。だから、その対比として、時々ある官能的な場面がより強い印象を残した。列車のなかでの情事(赤い夕陽の美しさ、それが唐突に青になる)、女性二人のダンスなど。さあ輪になって踊ろう♪になっても、踊りに入ることのできない、いや入ろうともしない主人公。ファシストになっても結局は自らの手で決着をつけることができない。どの場面か忘れちゃったけど斜めってる構図。森のなかでの木漏れ日、アンナの赤い顔、等々、こだわりの映像は圧巻。


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〈追記〉2023.11.09

なんと、主役のジャン=ルイ・トランティニャンさんは『殺しが静かにやって来る』の“サイレンス”だった!
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