つかれぐま

暗殺の森のつかれぐまのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
4.1
23/10/30@イオン多摩❻
午前十時の映画祭:解説なし

🇮🇹レストア版(2022) 
格好をつけた映画。多少あざといがこれは確かにカッコいいな。Metacritics というプロのレビュー集積サイトでスコア100点。

暗殺を実行する日の朝から映画は始まる。以降「その日」に至るまでの回想シーンとの往復が続き、クライマックス「暗殺の森」に辿り着く。最後に重要なエピローグが付くという構成が心地よい。

難解な作品と言われがちだが、回想シーンには主人公の妄想(ほとんど性的な)が多分に含まれると理解すればよく、特に自分はベルトルッチ後年の『ラストエンペラー』を何度か見ているので、同じ「ファシズムに翻弄される男」の話が吞み込みやすかった。本作のエッセンスを『ラストエンペラー』が解題した主従関係かな。

最近観た新作との共通点が。
『ジョンウィック4』クライマックスの場所(エッフェル塔を望む広場)が出て来るし、なにより主人公が『キラーズオブザフラワームーン』のディカプリオと相似だ(自分で考えない人間は時代に呑み込まれてしまう)。いかに現役監督たちが本作を好んでいるかが分かる。

主人公はファシズムに利用されるのだが、生み出したのは、贅沢と性に耽溺するブルジョワジー。退廃的な映像美。