ささい

暗殺の森のささいのレビュー・感想・評価

暗殺の森(1970年製作の映画)
3.6
正常な人間。「自分と同じ人間を信用し、違う人間を警戒する。」
洞窟の比喩、
森の湿度、窓の結露、タバコの煙、真っ赤な血。生と死の恐ろしいほどの生々しさ。
近代合理主義的な美しい洗練された建築の数々、室内の装飾、日の光と影の混じり合うことの無いコントラスト。
揺れるマルチェッロ、全体主義がそれを取り囲む。ファシズムと反ファシズム。次第に彼はファシズムが正義なのか信じられなくなる、彼の真の願いは遂に叶わなかった。
アンナの分別のなさ、酔って見えない今、彼女こそファシズムに流された大衆の象徴だ、彼女のような人間が先頭を切るのかもしれない。
「同じ考えのやつと同じにする。大勢でいれば怖くない。」最後までマルチェッロは迷ったままだった。イタリア共和国の波に着いていくにはやりすぎたのだ。

アンナとマルチェッロの対話、彼の顔は影で隠れて見えない。ファシズムに翻弄された。影よ、陽の光に惑わされないで。
ささい

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