KSat

ホームワークのKSatのネタバレレビュー・内容・結末

ホームワーク(1989年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

イランの小学生たちに宿題を何故やらなかったのかを延々とインタビューする、ドキュメンタリー。

映画というより、単純に映像資料としてかなり興味深い。

子供たちは健気だが、朝礼では「サダムに死を!」などと唱えさせられ(イランイラク戦争直後の映画)、「アニメと宿題、どっちが好き?」という質問に皆誰しもが「宿題」と答えるところに闇を感じずにはいられない。

しかし、それだけではない。映画が進むにつれ、子供たちが「罰」という単語の意味は解るが「ご褒美」や「称賛」の意味を知らないこと、父や母、兄弟や教師が何かにつけて殴り付けたりベルトで鞭打つのが常態化していること、文盲の親が驚くほど多くて書き取りの宿題ができないことなどが明らかになってゆく。

これが1980年代後半の話なのだから、イランにおける教育がいかに前時代的かがわかる。

ラストではとんでもない泣き虫が出てくるが、彼が詩を暗誦する場面からは、妙に希望が感じられる。

悪い映画ではないが、問題は、途中で出てくる、息子をこの学校に転校させるか迷っているパパのインタビューだ。海外とイランの教育事情の違いを長々と説明するのだが、これがマジでいらない。

関係ないが、ペルシア語では、舌打ちが否定形(NO)を意味するんだね。面白い!
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