青二歳

五人の突撃隊の青二歳のネタバレレビュー・内容・結末

五人の突撃隊(1961年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

大映戦記ドラマ素晴らしい。何このドラマの密度…
"五人の突撃隊"改め"五人のしんがり"が正しい。五人は大映現代劇勢、川口浩、藤巻潤、川崎敬三、本郷功次郎に加え、市川崑に乞われ大映入りした大辻伺郎。この五人それぞれのドラマ!

ビルマ戦線におけるしんがりと来れば結末はまあ想像の通り…。雨季が来る前に撤退するか攻撃に転ずるかしなければならない。補給は乏しく食料弾丸も届かない。マラリアに苦しむ兵士たち。進軍を強いられた指揮官の少将に山村聡。現場の大隊長は息子に優柔不断と蔑まれつつも撤退を進言。

大辻伺郎は元々は不出来な前座。"オソマツ"と呼びつつ可愛がる師匠に潮万太郎。大辻伺郎は評価の高い役者だと聞いていたがここに来て納得!こんなに切ない"寿限無"はない。
藤巻潤は美大出身のインテリ兵卒。妻子を本土に残し、過去に戦地から逃げようと企んだことがある。
川口浩は機関士?で戦車隊出身の飄々たるヤクザ者。軍人として生きようと努める本郷功次郎とのコントラストが映える。ヤクザという訳でも無さそうだが服役中に赤紙が届くものの家族に突き放され自暴自棄に。
父をクラゲ大隊とののしる息子に本郷功次郎。父子のシコリが戦地で溶けるか否か。
ラストまで存在感のない川崎敬三は迫る攻撃を前に結婚式を回想する。まさかの初夜直前に召集!川崎敬三の九州のお国言葉が素敵。

やや説明過剰な箇所は気になるがここまでドラマの密度が高いのはさすが。大辻伺郎がいることの意義たるや。
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