五人の突撃隊の作品情報・感想・評価

五人の突撃隊1961年製作の映画)

製作国:

上映時間:119分

ジャンル:

4.0

「五人の突撃隊」に投稿された感想・評価

半兵衛

半兵衛の感想・評価

4.0
「独立愚連隊」や海外の戦争ものに触発されて造られたと思われる、太平洋戦争のビルマでの撤退のしんがりを任された五人の若者たちによるドラマ。

五人のドラマは過不足なく描かれ、戦争に巻き込まれた若者のそれぞれの苦しみが観る人を切なくさせる。あまり巧くない落語家の大辻司郎、新婚初夜で兵隊にとられる川崎敬三、軍人として教育を受けた本郷功次郎、内地で恋人が待っている画家の藤巻潤…。

その中でも作品独特のカラーを作り上げているのが、主役である元ヤクザの川口浩である。出兵前から家族に疎まれ、周囲の人から敬遠されて世を拗ねている川口は、戦争に対しても何処か距離を取り、やる気がなく終始醒めている。川口の上手くはないが、独特の醒めた雰囲気がこの映画では大きく寄与している。そしてラストの彼の姿で戦争という行為の虚しさが大きく突きつけられる。
mh

mhの感想・評価

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大映のオールスター映画で戦争もの。コメディタッチな五人の群像劇。
ビルマ・インパールという舞台設定がめずらしい。
企画段階で意識しているであろう独立愚連隊は北支が舞台なので、それを避けての舞台設定となったのかもしれない。まあロケ地はどっちも同じ富士山麓なんだけどね。
宿営地でわい談にふけっている様子、戦争中の結婚式の様子、寄席の様子など、めずらしいシーンがいっぱい。
五人それぞれの過去回想が用意されているというのが、この映画のいちばんのポイントかもしれない。
結婚初夜にもういかなきゃはいい創作。在郷軍人ぜんぜん役立たなくて笑う。
落語家の師匠の家とか細部に凝っている。
個人的にはその五人になった必要性がいまいちよくわからなかった。普通なら、撤退戦のしんがりを勤めることになる五人を強調してから過去に戻ってリスタートさせる形式になると思うんだけど、そうなるとこんどは各人の過去回想がうまく処理できないということかな?
アマゾンレビューに詳しいひとがいろいろ書いててためになる。
続編は……作られなかったようで残念。それよりもこの映画関連ググってて独立愚連隊シリーズが全七作と知ってびっくりしている。
快作でした!
太平洋戦争の対イギリス軍とのビルマ戦線が舞台。弾薬糧食が欠乏した困窮状態はいまいち伝わらないけど、5人のドラマを主軸に内地での回想を挟んだ作りは見応えあるね。生きたい者は死んでしまい、死に急ぐ者は生き残ってしまう戦争の不条理さがよく伝わる。
東宝の独立愚連隊シリーズに対抗して作ったのか、五人の他脇役も豪華。それが良くも悪くもという具合で、反戦というメッセージは良いんだけど、脇が山村聰、大坂志郎、安部徹で五人が食われてるし、そこに五人の回想が入るから、話のキレがないというか…良いんだけど、タイトルで損をしている映画だった。
【あらすじ】
ビルマの奥地で侵攻作戦を進行中の野上(大坂志郎)大隊であるがジャングルを隔ててすぐ近くには敵軍が集結し始めていた
兵は疲労しきっており補給もままならず、もはや戦える状態ではないのだが軍本部の意向により後退は許されない
部下たちを犬死させないため強硬に撤退を進言していた少将山村聰は現場の指揮官を命じられてしまう
上層部の意向と前線の現実に苦悩する山村聰や大坂志郎、そして実際に前線に立つ兵士(本郷功次郎ら)らの運命は、、、
【感想】
評価が高いのも頷けるいい映画だと思う
冒頭の戦闘シーンから気合入ってる感じがする
時折個人毎の回想シーンがあったりするところなんかは戦争映画のあるあるなんだけど
この映画がよくある戦争映画と違うのはちゃんと敵が出てくるって点
予算の都合とかいろいろ事情があるんだろうけど敵の姿がほとんど見えない戦争映画が多い中でちゃんと敵兵が出てきて戦ってる姿が見られるって点なんかも評価したいところ
あとは変に美化してなかったり、ゴリゴリの反戦って感じでもなく、このあたりも好きなところ

マイナス点をあげるなら、タイトルがいまいち
五人の突撃隊ねー、五人ってのは回想シーンのあるメインの出演者、最後に戦車に乗り込んで敵を食い止めるシンガリの役割をするメンバー、本郷功次郎、川口浩、藤巻潤、川崎敬三、大辻伺郎を指すんですが
突撃隊って感じでもないというか、もっといいタイトルいくらでもあると思うんだけどなーって、、、

前々からこの映画の存在自体は知ってたけど、この中身がいまいちわからないタイトルと、ちょっと地味な感じのするキャストからなかなか見てみようと思わなかったもん
実際見てても回想シーンの女優さんたちが誰もわからないw
この辺がちょっともったいないかなぁって、三大女優とまではいかなくても誰かいなかったのかなーとか、、、この頃なら叶順子とか野添ひとみ、江波杏子あたり?

ってことでまとめると
地味ながらいい映画!
この地味さが良いとも言えるし、ストーリーが良いだけにもう少し有名な出演者で見たかった的なもったいなさ?もあるし
でも当時で他に誰がいるのかと考えると長谷川一夫や雷蔵は違う気がするし、勝新だと兵隊やくざみたいになる気もするし、船越英二だとおっさん過ぎる気もするし、、、って考えると小粒な分5人で!って感じになったのかなぁとか思ったり
昭和19年5月ビルマ最前線。インパール作戦。

「モグラじゃあるまいし!」

イーストウッドが見たとは思えんが、塹壕掘りのシーンから始まって、山村聰が地図を見ながら前線を偵察するシーン、歩兵たちがブツクサ言うシーン、兵隊たちの召集前のエピソード、悪化する状況…。『硫黄島からの手紙』を思い起こす。

前線。先はないとわかっていても、いざ「玉砕」と言われると身が凍る。

「人間、死にたくないと言ってなぜ悪いんです!」
「戦うのが祖国愛じゃないか!」

撤退する大隊。追撃を食い止めるために選抜された野上少尉(本郷功次郎)以下、4人の兵隊と動かない戦車。彼らの交流と召集前の回想に心打たれる。

本郷功次郎(職業軍人)
川口浩(軽口の前科者)
藤巻潤(画学生)
川崎敬三(初夜寸前で赤紙)
大辻司郎(オソマツ落語家)

タイトルバックで流れる最前線での衝突を見ると「国のために死ぬなんてバカバカしい!」と思うのに、山村聰扮する上官が出てくると「カッコいい!」と思ってしまう。

軍人としての誇りを胸に、クラゲ(軟弱者)指揮官といわれている父親に反発する本郷功次郎。刑務所で赤紙を受け取り、勘当同然で飛び出した川口浩。扱いが微妙なんだが会津弁?がとてもいい川崎敬三。画学生で前線の兵隊なのに腕が太すぎる藤巻潤。そして、大辻司郎は彼のベスト映画でなかろうか。五者五様の面白さ。

監督井上梅次。プログラムピクチャー全盛時にメガホンをふるい続け、Wikipediaによると、ピンク映画界を除くと監督した映画は最多らしい。

『銀座っ子物語』『閉店時間』みたいなアイドル映画かと思っていた。本郷功次郎と父との関係回復の描写が薄い気がしないでもないが、俳優の演技と人間ドラマに圧倒されっぱなしの2時間弱。

脇役も充実。田宮二郎、潮万太郎、安部徹、浜田ゆう子。『婚期』の蓮子ちゃん(弓恵子)が藤巻潤の妻やってて可愛かった。

背景に見えたビルマの寺院は合成だろうか。

あと、地道すぎる地雷除去。だがしかし作戦の成功は彼らにかかっている。
梅次先生の戦争映画ということで、岡本喜八のような痛快戦争活劇かと思ったら、冒頭からプライベート・ライアンみたいで、シリアスだった。
橋の爆破のためしんがりを務める5人の過去の回想場面があり、その中で一番あれな人があれになるというラストで、余韻が残った。
ここのデータを見ると二郎さんの名前があるけど、回想に出てくる脇役です。

「Laputa Asagaya 20th anniversary もう一度みたいにおこたえします」@ラピュタ阿佐ヶ谷
一

一の感想・評価

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井上梅次の戦争大作。わりと傑作。壊れて走らなくなった戦車をトーチカ代わりにしたクライマックスの戦車戦はなかなかの迫力。その戦車に乗り込み味方の退避の時間稼ぎをする任務に就く5人の人生が回想で語られる。妻と初夜を遂げられなかったのを悔い続ける川崎敬三と不器用な落語家・大辻伺郎が恐怖に慄き逃げ出そうとすると、あと20分で味方の退避が終わると告げられ、「なんだ20分か」「20分ならいいや」とやすやすトーチカ戦車に引き返すテキトーさにすごい笑う。クズのチンピラで家族の鼻つまみ者・川口浩のニヒルなやけっぱち加減もいい。安部徹も生きながらえた英霊として小隊をまとめる普通にかっこいい役。珍しい。兄びいきの父親に反発する本郷功次郎の兄として田宮二郎がチョイ役で登場。
うめ

うめの感想・評価

4.1
御国の為

必死にそんな言葉にすがりついたところで
胸の奥底の叫びを殺せるはずがない
残してきた
家族の為
愛する人の為
夢の為

生きたい
帰りたい
会いたい
抱きしめたい
死にたい


昭和19年
ビルマの最前線
食糧も弾薬も尽き果てた
戦いに倦み疲れ果てる兵士達
しかし、上層部が省みることはない

クラゲ大隊と蔑まれながらも
部下の命の為に撤退の道を模索する野上中佐
そこに送り込まれてきたのは息子の野上少尉を伴った曽根旅団長だった

タイトルにもなっている「突撃隊」ですが、ちょっと違います。
さまざまな思いを抱えて命を賭ける。
そんな五人が戦地に来るまでに何があったのか。
回想シーンで語られる一人一人が背負っているもの。
辛くて
悲しくて
悔しくて
涙がこぼれる
本当にこんな人達がたくさんいたんだろう。
そして、実際には絶望の中で亡くなっていったんだろう。

出演者の演技、構成ともに秀逸。
時折、思わず笑ってしまうようなシーンもあるが…
それが後にさらなる涙を誘う。

驚くほど、マーク数が少ないけど…
もっともっとたくさんの人に知られていい傑作だと思う。

このレビューはネタバレを含みます

忘れ去られ、もう誰も観なくなった作品なのだろうが、傑作と言って良いと思う、心揺さぶられる映画だった。

冒頭シーン、機銃掃射の中を決死の突撃、敵戦車隊が現れ、手榴弾で対抗。
昭和19年5月、ビルマ最前線。
一発の弾薬も、一粒の米も、補給されないまま塹壕の中で疲弊するばかりの野上中佐率いる大隊。
前面の敵を突破するよう命令された曽根旅団長は、中佐の息子・野上少尉を連れ、前線の指揮をとることになる。

弾薬も食料も、何のなぐさめもない前線。
塹壕の壁に作った泥の女体をなぞりながら、初夜の思い出に浸る男がいる。
「はだけた長襦袢から白い胸がのぞいてさ、そのポチャポチャ〜っとしてること、まるで突きたてのお餅のようだった。花嫁は恥ずかしそうにしてさ…。」
若い兵士たちは、息を呑んで話に聞き入る。



作戦の進行の合間に、五人の若者たちが、内地に残してきた過去を回想する。

野上少尉は、父との確執がある。
幼い頃から、父が兄には甘く、自分にだけ厳しいことに憤っていた。
部下の命を優先する父を腰抜けだと罵り、突撃してこそ軍人だと言い張る。

噺家の修行中だった不器用な男は、高座でも戦地でも「お粗末」と呼ばれながらも、真打ちになることを夢見ている。

画家を志していた美術学生は、恋人の肖像を描く。
「結婚しようって言って下さらないの?私、本当の人生を暮らしたいの、たった一週間でも、あなたと一緒に。」
ふたりは、招集の一週間前に結婚する。
出征時、妻のお腹に命が宿っていることを聞く。
男は兵役免除を企て、左手をわざと怪我し降格する。

刑務所に収監されていた不良男に赤紙が届く。
久しぶりの実家に帰ると、近所に後ろ指を指される。
父も兄弟も「帰って来なくていいのに。」と言う。
「お前のせいで妹は嫁に行けなくなったんだ。お向いの息子は立派な英霊になった。悔しかったらお国の為に死んでこい。」
呼び止める母を振り切って「死んでやるさ!」と飛び出す。
戦地では、上官に敬語も使わず不遜な態度をとる。
死も何も恐れていないようでも、地雷除去の指先は震える。



小規模な突撃を仕掛けた隙に、曽根旅団長は大隊に撤退を命ずる。
敵の故障戦車をトーチカがわりに、五人の若い兵士が残り、しんがりを務めることになる。

ついに、敵戦車部隊の総攻撃を迎え撃つ五人の若者。
ここで、最後の五人目の男の過去が回想される。

雪の積もる結婚式の夜、宴もたけなわ。
親戚たちに囃し立てられながら、布団が敷かれたはなれに入る新郎新婦。
おずおずと床の準備を始めると、外の宴会の騒ぎがピタリと止む。
こんな夜に召集令状が届いていたのだ。
男は、すぐに最終電車に乗るよう促される。
ずっと男が語っていたスケベな初夜の記憶は、あと一歩で届かなかった幸せな夢だったのだ。

序盤のくだらないギャグ描写が、まさかこんな伏線になっているとは。
この「どんでん返し」、あまりにも切なくて涙を堪えるのは難しい。


激しい銃撃をかわしながら、戦車部隊をなぎ倒していくが、初夜男、噺家、画家の順に命を落としていく。
その瞬間、彼らが内地に残してきた想いがフラッシュバックされる。

橋を破壊し、陣地へ戻った野上少尉と不良男は、命令違反の責任をとり自決した曽根旅団長の姿を見つける。
ふたりは旅団長を荼毘に付す。
それを見つけた英軍が、遠くから銃撃する。
と、野上少尉だけが被弾し「おとうさん…」と言い残し死ぬ。
その時、雨が降り出す。
ビルマの地に雨期が訪れた。
「しばらく戦闘はお休みだな」と言い英兵は去る。
死ぬために戦地に来た男には、死ぬ事も許されなかった。
「俺みたいなクズだけ残しやがって、馬鹿野郎!馬鹿野郎!なんで戦争なんかしやがんだ!」
大雨のジャングルの中を、形見の刀を抱え歩く不良男の後姿。


モノクロの映像で撮られた塹壕や夜の戦闘は、真っ暗でよく判らない。
しかし現実はもっと何も見えないだろうから、リアルな描写と言えるかもしれない。
戦車の走行や砲撃、銃撃戦などのアクション表現、軍人の言葉や仕種なども、素人目にはリアルに感じる。
しかし、この作品そのものが描いているのは、現実にはありえなかった日本軍の姿である。
人命を尊重する理性的な上官。
たった五人の若者の超人的な動きで、戦車部隊を撃破。
これらは、制作された’61年当時の「こうであってほしかった」という叶わなかった夢のように感じた。
それは、死ねなかった男のラストのセリフ「なんで戦争なんかしやがんだ!」に、一番強く表れているのだろう。
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