こたつむり

悪い種子(たね)のこたつむりのレビュー・感想・評価

悪い種子(たね)(1956年製作の映画)
3.5
♪ 芽が出て ふくらんで
  花が咲いたら じゃんけんぽん

「真の邪悪とは何かッ?」
と侃々諤々の議論を交わしたくなる作品でした。ちなみに僕は“電車の中で迷惑行為に及ぶ輩”が真の邪悪だと思います。混んでいる中で足を組む奴とか、必要以上に足を広げる奴とか(以下略)

それにしても。
劇場公開時期(1956年)を考えると、なかなか衝撃的な物語ですよね。本作で悪を具現化するのは8歳の女の子。さすがに第二次性徴を迎えない子供を“悪”と定義するのは…うん。なかなか野心的。

しかも、演じたパティ・マコーマックが見事なのです。古い映画だからか、カメラが遠い位置にあると粒子が荒くなり、笑っていても表情が厳しく見えるのです。背筋が寒くなりますよ。

また、彼女が言い訳する節々に“稚拙な部分”が見えるのも…逆に怖いのです。親の立場からすると「自分の子供も…」なんて考えてしまいますからね。それに僕だって幼少期を振り返ってみれば…もごもご。うう…言えない…。マ×ミちゃんの××を××したなんて…言えない…。

…にやり。

それにしても。
物語の根底に重厚なテーマが流れているのも感嘆の極み。人間は遺伝子に支配されるのか、それとも環境に左右されるのか…それは永遠の命題。僕としては遺伝子3割、環境7割だと思っていますが、どれだけ科学が発展しても答えは出ないことでしょう。

まあ、そんなわけで。
パラフィン紙に包まれた粉末のような作品。
悪と定義された種子は如何に育つのか…まさに神のみぞ知る、ですね。なお、派手な映像が少ないため、若干眠くなる可能性があります。積極果敢な姿勢で鑑賞したほうが良いかもしれません。

最後に余談として。
本作の最後に「衝撃的な結末をしゃべるな」というメッセージがありましたが、このメッセージ自体が衝撃的じゃないでしょうか…って、これも書いちゃダメだったかな?

…にやり。
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