ちいさな泥棒

間諜最後の日のちいさな泥棒のレビュー・感想・評価

間諜最後の日(1936年製作の映画)
3.3
昨日『ロープ』を観てヒッチコックおもしろいかも!って思えたのと、大好きなピーター・ローレ(といってもまだそんなに作品数観たことがない)が出ているので観てみた。

風邪をひいたらしく久々に連日発熱。熱があってぼんやりしてても全然観れるし楽しくてクスッと笑えるシーンもたくさんあった。むしろちょうどいい。

女性とのバディものかと思ったんでそんなに見れないのかなと思ったけどバディがピーター・ローレとだったので幸せ時間でした。女性スパイも人を殺してしまったという罪悪感でメンタル崩壊する感じも好きだった。病んでる時の微かな物音の聞こえ方、見え方の描写もよかった。

ただあのラストはねーべや…
それまでスコア5だった気持ちが一気に急降下してマイナスまでいっちゃったよね。

ヒッチコックはあらすじはとても惹かれるのに観るとそうでもない、長い、と感じることが多くて「やっぱり合わないな…」と毎度なるんですがそれでも懲りず何作目かわかりませんが『ロープ』とこちらはハマれた。むしろ欲したしワクワクしたしハラハラした。あと若い方から中高年、熟成された高身長の小顔&鼻筋きれいな男性ばかり出てくるのでイイ男選手権すぎて誰を選んだらいいの!なんて眼福。そんな男性が3人並んだ絵面はどうしようかと思うくらいの素晴らしい絵図でした。初期のほうになるのかわからないけど、世間的にはヒッチコックっぽさがないと言われてしまったり本人も駄作と言ってたみたいだけど自分的にはこのあたりの時期が合うのかもしれない。撮り方も好きだし尺もちょうどいい。

そのなかで一際異才を放つピーター・ローレ。おチビでちょいポチャで目がギョロっとしていて手足も短い。まわりのシュッとした男性陣と頭1個半ぶんくらい違う彼が顔をグイッと上げて話す可愛さよ。他の方達のレビューを読んでも彼が演じた「将軍」のことを書かれてる方が多いので彼の名前は知らずとも異質で心に残る存在感やインパクトはやっぱり凄まじいんでしょうねぇ(誉)

今回も怪演してたピーター・ローレは今でもかなり通じる強い個性と存在感と演技派できもちわるい役がとても似合う最高な役者さんだなと改めて思いました。ピーター・ストーメアあたりに存在が似てる。色々開拓したいと思って作品を観ても『狂恋』のツルピカハゲのオタクドル箱医者ことゴーゴル博士のインパクトが強すぎて髭や髪が生えていると違和感を感じてどうも入りこめず観るのをやめてしまったりするのですが、少しずつ観ていきたい。もしかしたらこの先も『狂恋』ゴーゴル博士のきもちわるさを超す作品に出会えないとしても…。本当に強烈なキャラクターできもちわるかったから(褒めてる)あと時代は違うはずなのに今でもあるあるな内容だったのもかなり大きかったのかもしれない。それ故にグッと心を掴まれてしまったというか。この時代の映画はやっぱりどこか「娯楽」感があったりどこか浮世離れしてるからいい意味で現実と切り離して観てる部分が大きいので今でもあるあるな現実味のある話を、今でもいそうな顔の役者さんが演じてたとなると心に強く残って強烈なんですよね。

と、作品よりピーター・ローレの感想になってしまいましたが…

とりあえずあれだけのポンコツ具合で果たしていいのかい、スパイって。辞めます!って言って辞めれるものなのかい、スパイって。です。きっとそれだけズブのド素人にもスパイをやらせざるおえないような状況下だったのかもしれませんね。

チョコレート工場のシーン、音の使い方とかも好きでとくに楽しかった!