雨虎

パルプ・フィクションの雨虎のネタバレレビュー・内容・結末

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

プロローグとエピローグ、その間に3つのオムニバス形式の物語が入る。これを知らずに見ていたために、カップルが強盗計画を立て、レストランで決行した部分からどのように話が進むのかと楽しみにしていると、いきなり違う視点に切り替わった。急に着地点を見失ったのだ。
その後もこれはどう必要なのかいまいちはっきりとしない話が続いていたものの、一つのテーマがあるように感じられたときには必要な話でなくてはならないものだと感じられた。

この3つのオムニバスにはギャングとボスの妻の話、八百長を蹴ったボクサーの話、人質を誤って殺害したギャング二人の話がある。最初の話のヴィンセントとミアの話はどちらかと言えばコメディだったが、事件が一つある以外には特別な話も少なかった。ミアの方は女としての矜持のような物を感じた。
そして、ボクサーのブッチはギャングのボスのマーセルスの八百長命令を無視して、街から出ようとするものの時計を取りに戻り、出くわしたヴィンセントを殺害する。慌てて逃げるも今度はマーセルスにも出くわし、二人してゲイのレイプ犯に捕まるという、何の因果かと思うような話だ。
時間は戻り、聖書の一節を暗記して殺人をし、一仕事終えたことで油断していたジュールスは銃撃された。しかし、当たらなかったことを神の奇跡と感じ、足を洗おうとする。ところが、道中でヴィンセントが人質を殺害してしまい、その処理をして血と肉で汚れたスーツを脱ぎ、ダサいTシャツと短パンに着替える。
そこでエピローグでレストランにいると強盗事件に出くわすというものだった。

どの話も何かしらの信念であったり、大切なものがあるという人物が出てくる。そして、その人物のどれもが魅力的に描かれているように感じた。
ただ、それに気づかないと単にギャングたちが会話をしてカッコいいような雰囲気を感じて終わりという軽い話になってしまう。
最近の映画にありがちなアクションもなく、派手な銃撃もない。むしろ無防備な相手に銃を撃つシーンばかりだ。
そんなインパクトの薄い物語にもかかわらず、オムニバス形式のせいで見逃すと本当につまらなく、更に薄い話になるからしっかりと見ないといけない。
ただ、そういう話に魅力のある人間を表現し、面白さを引き出している。そこで内容を豊かにするというのがこの映画なのかと考えた。
雨虎

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