おなべ

チェイサーのおなべのレビュー・感想・評価

チェイサー(2008年製作の映画)
3.8
どうしようもない現実を突き付けられる。狂気と怒りに満ちた韓国ノワール映画。今作は2003〜2004年に実際に起きたソウル20人連続殺人事件をベースに作られている。過激なバイオレンス描写が多目でかなりエグいので苦手な人は要注意。

《ナ・ホンジン》監督、中々酷で暗い物語展開を好みますな。暴力の本質を解ってないとここまでバイオレンスが光る作品は作れないと思う。終始緊張感を保ちつつサスペンスもアクションも人間ドラマもバランス良く展開している。尚且つサスペンス映画でありながら1番の見どころであるとも思われる最重要犯人を中盤にあっさり逮捕、そこから終盤にかけて怒涛の追い上げを見せる監督の敏腕演出に星3つ(星3つ中)。

《キム・ユンソク》&《ハ・ジョンウ》の怪演が素晴らしい。両者共に引けを取らない見事な好演で、監督の力量は勿論だが二人の好演あってのこの評価であると思う。《キム・ユンソク》は元刑事でデリヘルの元締めを、《ハ・ジョンウ》は掴み所のない狂気の殺人犯を演じている。

【以下ネタバレ含む】

●「証拠不十分で不起訴」というのは映画やドラマの中だけだと思っていたが、今作のように実際に連続殺人犯が証拠不十分で不起訴になり野放しにされていると思うと恐怖を覚える。
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