みんと

ダンケルクのみんとのレビュー・感想・評価

ダンケルク(1964年製作の映画)
3.8
恥ずかしながらノーラン監督版は未見からの鑑賞。
けれどきっと順番としてコチラが先は正解だった気がする。

本隊から逸れた一人のフランス兵の視点で描いたダンケルク。
主人公を演じたジャン=ポール・ベルモンドの飄々とした中にも人間味を感じる絶妙な抜け感に戦争映画らしからぬカッコ良さがひたすら漂い続けた。

戦争真っ只中にも関わらず悲壮感どころか緊張感すら感じ無い。されどフワフワした中に時折見せる悲しい表情や事のほか深い台詞がグッと突き刺さる。やっぱり紛れもなく戦争映画なんだと思い知らされる。

皆がみんな強い戦意を持って駆り出される訳ではなく、長いものに巻かれ意に反した戦いに戸惑う人も居るわけで、普通に日常や家族が居るわけで...
そう言う意味ではベルモンドを筆頭に仲間達の何処かで現実を受け入れきれていない空気感が逆にリアルだったり、、、

エキストラの数然り、その臨場感は時代を感じさせないリアリティだし空撃シーンなんてヒヤヒヤの連続。
されど戦場のひとりの兵士と言うより、取材に来たクルーのひとりのように俯瞰的に何処か冷めた目で「戦争」を見つめ、さながらドキュメンタリーを思わせるムードが漂う。

そして後半に向けてストーリーが動き出す。切ない恋愛要素が加わり、思わぬ事件が起こり、一気に濃厚な人間ドラマへとシフトする展開にぐっと惹き込まれる。
他人の命を奪う事の正当性を突き付けられ深く考えさせられる。果たして戦争で奪う命は許されるのか...と。

軍服姿ですら何処かお洒落に感じる。
他人を受け入れる心の柔軟さ、不器用ながら仲間を思う心の熱さ或いは人懐っこさ...
ベルモンドを形成する全ての要素が今作でもカッコ良く感じる戦争映画だった。

そして不謹慎にも、浮き立つようなオープニングに粋なラストカットはやっぱりお洒落だしフランスっぽい!
みんと

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