いの

血斗のジャンゴのいののレビュー・感想・評価

血斗のジャンゴ(1967年製作の映画)
4.3
正義は俺の魂の中にある!


“3大セルジオ”のうちのひとり、セルジオ・ソリーマが描く、マカロニ・ウエスタン!オープニングタイトルは、ツートンカラーに主役2人の顔のコラージュ、格好いい!音楽はモリコーネ御大。美術・衣装はカルロ・シーミ。


ジャケの説明文がとても良いので、まずはそれを拝借します。「肺病病みの気弱な大学教授が療養先の西部で盗賊団の首領と出会い、次第に暴力の歓びに目覚めていく・・・・・・。」


「荒野の用心棒」(他にも「夕陽のガンマン」「群盗荒野を裂く」)などで強烈な印象を残したジャン・マリア・ヴォロンテが、大学教授を演じてます。いかにも大学の先生という感じで、知性や教養をきわめて自然にあふれさせます。悪役だけじゃなくて、こんな役も似合うんだ! だんだん危うい方へと足を突っ込んでいき、気づいたら残虐きわまる独裁者になろうとしていたという、その匙加減が流石です! このままいくと、このインテリ先生がこの映画の全てを持っていってしまうのではなかろうか?と危惧したのですがw、そこはやっぱりトーマス・ミリアン! この先生が言葉で語れば語るほどに、かえって行動で示すトーマス・ミリアンが引き立ってしまう! ということで超&納&得。終わり方も素晴らしい!


ちなみにジャンゴは出てきません!




-----



これからの「正義」の話をしよう


これはセルジオ・ソリーマの思想性をかなり直截的に描いた映画ではないのかと推測します。確かなはずだった知性が、サディスティックなまでの暴力肯定へとどう転回していくのか。いったん人々を支配する歓びを知ると、人はどう変わるのか。その一方で、盗賊のリーダーは何故、こうも人々を魅了するのか。「善」と「悪」は、入れ替わる。ラストの「正義」をめぐるやり取りもめっっっちゃ面白い!!!トーマス・ミリアンが放ったひと言がすんごい良い!(*にしても、「正義」という言葉は本当に要注意。この言葉には、きわめて慎重に接しないとね!)


-----

〈メモ〉

 この映画で、ザカリーを演じたアルド・サムスレルさんを見つけると歓ぶ者になってしまったわい! この方は、レオーネ作品に欠かせない顔だとか。そういえば「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」などのレオーネ作品に出演。ほか、「さすらいのガンマン」(セルジオ・コルブッチ)・「群盗荒野を裂く」(ダミアーノ・ダミアーニ)などにも出演。「夕陽のガンマン」での顔アップ(銀行前でのチームプレー)が忘れられない!笑 これはマカロニ界でのポール・ウォルター・ハウザー君にあたるのか?(いや絶対ちがう!笑) これからMottoミッケ!していこうっと♪
いの

いの