こたつムービー

失われた週末のこたつムービーのレビュー・感想・評価

失われた週末(1945年製作の映画)
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再見再検証。って、軽く20年ぶり位?(なおワイルダーならどうする?はまじで名著)

そんな久方ぶりの鑑賞は
「圧巻、とはいえないな」だった。

20分位長いって感じ。冗長で、ワイルダーのその後のキレッキレさが(実は)ない。端的に言って「若い」と思った。ワイルダーが若い!

実際そうだろう。これ(45年)と、この前作「深夜の告白(44年)」がワイルダーにとってワイルダーたる実質的スタートだ。

むろんファーストカットの吊るされた瓶、天井照明に映る影ほか、ワイルダーな映像美とシャレードが光るが、若い、と言ったのはレイミランドなど人物演出についてだ。キャラ振り分けの一本調子だから、映画的魅力を損なっている。延々繰り返すアル中描写も、演出的にこなれてなく若い。


・・つーのは、こうして今日ビに鑑賞できる贅沢か。当時としたらブッチギリでハードコアで野心的だ。アル中映画のほぼ元祖で、病めるアメリカのはじまりでもあり、当時の観衆の衝撃も想像に難くない。

当時カンヌもアカデミー賞もこの作品に最高賞を与えた。そしてこの後、ワイルダーの快進撃は始まるのだ。