Kamiyo

シカゴのKamiyoのレビュー・感想・評価

シカゴ(2002年製作の映画)
3.7
”シカゴ(2002)” 監督 ロブ・マーシャル
ブラックジョーク満載のシニカルエンターテイメントの
傑作!That's シカゴ!

ミュージカルというショウビジネスは、伝統文化の寂しいアメリカを代表する文化なのでしょう。
とにかくなんでも、どんな状況でも歌と踊りにしてしまうそのパワーとはじけぶりに驚く。

いつか観たいと思っていた映画。
ほほぉ~♪こんな映画だったのねえ。

「5,6,7,8!」と言う、ティ・ディックスの渋い声で、ショーが始まり、ヴェルマ(キャサリーン・ゼタ=ジョーンズ)が楽屋に飛び込んで来て
血のついた手を洗ってステージに飛び出して行く。
そして始まる、お馴染みの「オール・ザット・ジャ
ズ」・・・
そのステージを羨望の眼差しで見つめる、元バックダンサーのロキシー・ハート(レニー・ゼルウィガー)がいた・・・
冒頭のキャサリン・ゼタ・ジョーンズの「オール・ザット・ジャズ」から、すんなり入っていけました。
あの美貌、美声、ダンス、セクシーな体のシルエットと見事としか言いようがありません。
彼女は元々ミュージカルダンサーの出身らしく
本物なんですから魅せられるはずです。

本作の主人公を演じたのが、レニー・ゼルウィガーも
したたかな女っぷりがいいよね。
あとcell block tangoは本当に格好いい。
こちらのキュートさも素晴らしい。透明感あふれる彼女の仕草や、ダンスシーンはマリリン・モンローと被って見えてドキリとさせられます。

脇を固めてる女優さん達は、舞台のCHICAGOで実際に
演じてた女優さん達。ダンスも難易度が高くてキレキレ。
肉体美が本当に美しい!

同じ人殺しでも、スターに憧れそのコネを利用しようとしたがコネなど全くの嘘で裏切られ愛人を殺す『ロキシー・ハート』と自分の夫と妹との不倫現場を目撃し衝動的にその二人を殺す『ヴェルマ・ケリー』。
さてさて、どちらの方が良いか?などとミュージカル映画という点を満喫しながらもストーリーもとても気になりました。お互い絞首刑を免れるために必死の頑張りをみせる二人。真実などどこ吹く風で自分だけが助かればいいというなんとも身勝手な女です。

ロキシーの幻想にすぎない。
殺人事件というスキャンダルを利用して
そこで頼りにしたのが、依頼料は高いが無敗の
弁護士だったのです。
その弁護士を演じたのがリチャード・ギア。
リチャードギア演じる弁護士ビリー・フリンの天才的弁護にも関心させられるが、リチャードギアの甘いマスクが本作では、野心満々のいやらしい弁護士を演じていたところも良かった。
彼もタップダンスを自らこなしたわけですが
「イエス・キリストがこのシカゴに住んでいて
俺に5千ドル払えば、磔(はりつけ)にはされなかった」
とうそぶく弁護士の歌と踊りが観られるのだ。

公判前の記者会見でのレニー・ゼルウィガーを
リチャード・ギアが操る腹話術のシーンは
アイデアとして素晴らしい。

シカゴはご存知の通り、アメリカ中西部の都市
本作の舞台の1920年代ならアメリカ第二の大都会です
工業も盛んですが、当時から今も全米から穀物、食肉
鉱物が集まって、世界一の商品先物市場のある街です
つまり商都です
全米から金が集まって来る街です

1920年代のシカゴ、とにかく人殺しは
当たり前の時代だったんだろう。
世相も殺人に慣れている。
それと、ショービジネスをミックスした
異色のミュージカルだ。
今もロングランを続けているので
アメリカ人は余程好きらしい。

ただこういう映画のレビューを見てるとなんで
こんな人達に品性を求めるのか…
禁酒法時代の狂宴。バブル期ですよ。
この映画はアメリカ社会の闇を皮肉ってるんですよ。
公開処刑の時代に犯罪が一つのスペクタクルショーで、
その裁判で真意は置いといて無罪になってしまう。
充分問題だから肯定もしないし、最後2人で歌ってるけれどもそれが長く続かないの位本人達も分かってる。
でも今さえ良ければいいオールザットジャズなんでしょ。
ハッピーなだけがミュージカルじゃないでしょ。。

とくにラスト、この二人が最強のコンビとして踊るシーンは必見。できればもちろん大画面で・・・いや生のステージで見ないと本当のすごさはわからないのかも。
とにかく軽快なナンバーの歌と踊りであっというまに時間が過ぎてしまうこと請け合い。
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