「人生はチョコレート」
大人になってから生きることが難しいと感じ悩むことが多くなった。
それに比べて子供の頃って今よりも、キラキラしていて、クスッと笑えるぐらいおかしくて。
毎日毎日が、何百倍も充実していた。
しかし、いくら子供の頃が良かったと愚痴をいって、悩んだところで物事の本質は解決できない。
何故なら人生は巻き戻すことができないからだ。
だからこそ不安になった時、生き方がわからなくなった時にこの「ニューシネマパラダイス」を観ることにしている。
この映画は、トトの約50年ほどの人生
彼が後悔していること、喜び、愛することそのすべてを自分のことのように感じ二時間で体験することができる。
その中で真っ先に感じるのが、人生は一度きりということ。
人生はチョコレートのように甘く、ほろ苦い。
気づいた時には、あっという間に溶けてゆく。
チョコレートであれば、もうひとつ、もうひとつと口の中に運べるけれど、人生は1度しか味わうことができない。
だからこそ人生は美しく儚いと感じるのかもしれない。
そして一番印象的なのは、アルフレードがトトに対してお前は私よりも盲目だ。と言い放つ言葉。
これは私たちにも言えることだ。
人間は難しいもので、わかっていても気づいた時には忘れてしまうことが多い。
生きることも、愛することもどんな大切なことさえも、失ってから気付く。
まさに盲目である。
大切なのは、過去を懐かしむことよりも、今を精一杯生きること。
アルフレードは、自分ができなかった後悔の数々を若いトトに託し、この街から何十年も帰ってくるなという。
そしてノスタルジーな気持ちを今は忘れろと。
アルフレードは、写真だけだがどこか容姿が、トトの父親に似ている。
だからこそ、トトは惹かれたというのもあると思うし、映画を心から愛するものとして彼を尊敬してるからこそ、彼がいう言葉を真摯に受け止めたのだろう。
そして第二次世界対戦中、外界から閉ざされ、疲弊した村人の心を癒すのは、村の外に通じるたったひとつの窓である映画館だった。
映画を観る村人たちが、嬉しそうに輝いている。
みんなで、笑い、泣き、驚き、中には寝る人や唾をはく人、突然死んでしまう人色んな感情が目に見えて感動的でした。
ルールに縛られるばかりじゃなくてざわざわしているところでみんなで乗組員になった気持ちで映画を観るのも、悪くないな。
そんな企画の映画イベントも是非作って欲しい。
時代の移り変わりで色褪せるものも多い世の中で、映画離れなどとも言われているが、今もこうして映画を愛するものがいる。
私もいつまでも映画と共に生きていくだろう。
この映画を越えるものは、今後もないと思う。
映画ファンには必ず見て欲しい。