ピッツア橋本

ビフォア・サンセットのピッツア橋本のレビュー・感想・評価

ビフォア・サンセット(2004年製作の映画)
4.7
小説家イーサン・ホークが自身の恋愛体験(映画『ビフォア・サンライズ』参照のこと)を元に書いた自作のイベント会場に、作中のモデルにした女性ジュリー・デルピーが現れる。9年ぶりの再会に歓喜する2人はホークが夕暮れの飛行機で帰るまでの間、パリに在住するジュリーのエスコートの元、優雅にお散歩デートするのでした…

という恋愛映画。
基本構成は前作“〜サンライズ”と同様男女2人がひたすら恋や生活について喋りまくるだけ。

変わったのはその9年という歳月。2人はアラサーになり、若さでは解決できないデリケートな話、あるいはぶっちゃけ話がずっと行ったり来たりする。

この映画の2人とほぼ同い年の自分にはいままさにそのデリケート感がガツンと来て、地味だけど強烈なリアリティあるセリフが何個もあった。

久々に大切な人間に会って、あの時、あの頃が重くのしかかり、果たして今は本当に幸せなのか?
納得したり忘れたふりして暮らしてるだけなのではないかという思いがジワリとこみ上げてくる感じに胸が締め付けられる。

前作は昔を懐かしい痛み、今作はいままさに自分が感じてる不安と達観を改めて教えてくれたような気がして、観ててすごくソワソワした苦笑
実際、脚本にイーサン・ホークとジュリー・デルピーが名を連ねているあたりから察するに、等身大の2人の意見や想いも大いに反映されているのが充分に伝わる。
本当にセリフの一言一言が重くてハッとさせて素晴らしい。

やり過ぎるとただのメロドラマに成りかねない展開もチラホラ出てくるのだけれど、本作はそこを絶妙なコントロールで良い感じな余韻に浸らせてくれる。

トキメキではなく、揺らめきをくれる恋愛映画。
ちゃんと終わりを分かりながらこのひと時を愉しむ大人な2人に乾杯!


因みに自分は前作と今作を日本語吹替で観ているのだが、ものすごく良いのでオススメです。
ピッツア橋本

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