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青髭八人目の妻のnagashingのレビュー・感想・評価

青髭八人目の妻(1938年製作の映画)
2.5
ずいぶんスクリューボール・コメディに寄せてきた感があるが、中途半端にソフィスティケイトされていることでなんとも居心地の悪い作品に。エレガントにもエキセントリックにも舵が切られず、軸がぶれぶれで、いったいどういうテンションで鑑賞すればいいのか最後までよくわからない。木を森のなかではなく繁華街のどまんなかに植えてしまった感じ。結果的に、クローデット・コルベールのラディカルな飼い殺しっぷりが異様にきわだっている。単発的な笑いはあらかた良質なだけに惜しい。候爵の親父と伯母の金銭をめぐる確執とか、ノックアウトされる心持ちを「桜散る日本庭園」や「トビウオの気分」にたとえるボクサーとかほんとうにおかしかった。ここらへんは、さすがビリー・ワイルダー(?)といったところか。
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