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話の話のmajiziのレビュー・感想・評価

話の話(1979年製作の映画)
4.0
ノルシュテイン傑作選⑥

約30分あるものの、ストーリーは監督の幼少期の体験がベースというだけあって、記憶の断片的な作品。

家族、赤ん坊、戦争、オオカミ、ウシ、子どもたち、りんご、カラス…

どの部分も夢と現実の区別がないような世界。

壊れたレコードのように音が飛んでタンゴの旋律が歪み、ダンスホールから消えていく男性。戦争へ行ってしまった。

車や池の描写に実写合成があったり、降り積もる雪の冷たさ、燃える炎の暖かさを感じる表現がとても素晴らしい。

ポツンと取り残されて、赤ん坊の面倒をみるオオカミをそっと抱きしめてあげたくなる。

ピアノの音色、鉄道の走る音、繰り返されるタンゴ。

ノルシュテイン傑作選のトリを飾るに相応しい藝術作品でした。
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