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春のソナタのcyphのレビュー・感想・評価

春のソナタ(1989年製作の映画)
4.4
久々に観たロメールだからだろうけどそんな喋ることある!?てくらいよく喋るからずっとうっすら微笑んでしまった じゃがいも剥いてるとこにカチコミに入るナターシャの攻撃性は一連のロメール作品の中でも群を抜いてる 性格障害の女たち 帰る帰らないで揉めるシーンのある映画って絶対にすきになっちゃう、間が抜けてるのに真剣でわたしたちの人生みたいで 首飾りもほんとに特に意味なくてウケる

最初と最後のお部屋が本当にいい 乱雑に積まれたペーパーバック、大味な花束と花瓶 北の橋でも思ったけどこれくらい気軽に自由に寝床を決めたいものだってしみじみ思う 冬物語と同様、本作も主演2人はロメール作品のファンで自らロメールに売り込みにきてこの作品がつくられたそう 名が売れてもずっと変わらずスモールに七面倒な女の感情の揺ればっかり映画にしてて最高ありがとう



2017.6.11 角川シネマ有楽町
いくつかの寝床をいくつかの事情と感情によって行き来する女3人と男1人 女2人が哲学を専攻してることもあって会話劇が他作品と比べ格段に凝ってる ギュゲスの指輪や3つのお願いの婉曲さもよい そしてそれぞれに誰かの不在を内に秘めてる すごく雑に言えば濱口竜介的、人間ドラマとしてもかなりすきだった

パリ郊外の別荘の美しい庭、部屋に飾られる大味な花たち 鮮やかな服の色合いやボタニカルな壁紙がじわじわと春を伝えるのもうれしいし、ラストシーンへかけての爽快感はいつも通りのお手の物 旅行中の恋人が残した乱雑な部屋が終始ずっと横たわっててよかった

「娘を含め私の周りの女はみんな性格障害だ」「彼は行動そのものが詩を思わせる だから愛しているのよ」
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