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ゲド戦記の655321のレビュー・感想・評価

ゲド戦記(2006年製作の映画)
2.0
父殺しから始まる物語。
監督は宮崎駿さんの息子、宮崎吾朗さん。

偉大な父への、そして自分へのお手紙。

…分かるけどね。その苦痛は。
同じように“父の息子”として接してこられた者として。

主人公(苦笑)のアレンは…
王である実父を殺して、
同時にもう一人の父(ハイタカ)を愛す。
[鷹(タカ)は孤独だ。私も孤独だ。]
というテルーの唄に涙を流す。
この物語のタイトルはゲド(=ハイタカ)戦記。

下らん。
アンタは自分を受け入れたんじゃなくて、
下から目線で大空を翔ける鷹を見下ろしただけだ。

そりゃアンタ程じゃあなくても、知ってるよ。
“父の息子”という視線のおぞましさは。
父という過去を見て、私の未来を覗かれる
このからっぽな視線。
でも私は孤独なんかじゃなかった。父も。
きっと宮崎駿さんも、吾朗さんといる時は孤独なんかじゃなかったはず。
だってこの関係に“ジブリの”という冠は必要ないんだから。

まあ、それでも自分を制御できず反発してしまうのがアレンというキャラな訳だけど…。
それならそれでいいじゃないか。
まずは自分で自分を赦してあげなよ。
父殺しを償うために国に帰る、
なんてオチは心底嫌いだ。
“ジブリの”父を殺すことは償うことなんかじゃないと思うよ。少なくとも私は。
それが自分を受け入れるってことだと思うけどなあ。

下手っぴだね、宮崎吾朗さんは。
…この感想が愛の無い響きに聞こえたとしたら
私もヘタクソだけどさ。
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