ひさかた

アメリカン・サイコのひさかたのレビュー・感想・評価

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
4.2
僕は一体何者なんだ。
大企業の副社長という肩書き。磨きあげられた肉体美。高級マンション。恵まれた外見。傍から見れば、誰もが羨む素晴らしい人生。
それはひどい偏見だ。だって、僕は実在していないから。他者との境界線がわからない。それは周りの奴らも同じだ。同じようなスーツ、同じような名刺、同じような高尚な名前、同じような肩書き、同じような髪型、同じような思考、同じような、同じような……。他者を「比較対象」という一括りにしか見れない。僕もそうだ。
唯一僕が異なること。それは衝動性。どうしても抑えられなくなる。斧で人を切り裂き、ナイフで胸を刺しているときだけ、僕が他者と違うということが分かる。君は痛いんだろう、恐ろしくて叫ぶんだろう、そういう時だけ境界がわかるのだ。

自己と他者のあまりにも曖昧な境界線。

というふうに、わたしはアイデンティティの話かなと思いました。
彼の殺人衝動自体はサイコのソレですが、パトリックの個性ってこれだけなんですよね。悲しいかな。
そこを除けば、全体的な空気感は完全にコメディです笑
突然の名刺バトルが有名ですね。
個人的にはだいぶ好きです。人は選びます!
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