しゃおりん

アメリカン・サイコのしゃおりんのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
3.4

このレビューはネタバレを含みます

一体いつの間に思い込んでしまったのか、サイコパスというのは狡猾で頭のいいものだとばかり思っていたので、ちょっと豆鉄砲だった本作。

殺人がストレス発散以外の何でもないわけだから、隠し通すとかこっそりやるとかそういう気概が一切無いんだね〜!斬新。(よく考えるとその方が純真たるサイコパスのようではある)
血塗れのシーツをクリーニングに出したり、同僚の首に手を掛けてやっぱり殺すのやめたり、全裸でチェーンソー振り回しながらマンション中駆けたりするのにいやいやなんで捕まらないのよ、という突っ込みが入るに違いないんだけど、それこそがこのストーリーのミソであり真骨頂というのだからあっぱれ。
真に恐ろしいのは、こんなに恐ろしいことが立て続けに起こっているのに、最早殺人を自白してまでいるのに、全然信じようとしないというか全く他人に関心が無い周囲の人間だった、っていうのはこりゃ一本とられちゃったな!

名刺バトルや筋トレや肌の手入れやレストランなど主人公が人より何か優れた部分を持とうと必死なのも、人々の関心をなんとか得て自分の空虚な部分を埋めるためだったり、元々殺人衝動を持ち合わせた「何かが他人とおかしい自分」という疎外感を埋めるためかと考えると少々同情する。
音楽だけは他人と共感し合えるツールと考えていたぽいけど、ストーリーの中ではやはり誰も彼の音楽語りに無関心だったのがこのレビューを書きながら切ない気持ちになってきた。

ウォールストリート舞台とする作品はいろいろあるけど、ここで働く人たちはいつだって何か人間的にぶっ壊れてるから恐ろしい街だ……。