足拭き猫

ウェンディ&ルーシーの足拭き猫のレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
4.1
家族も家も失くし、きっと仕事も失くして友達もいなくなってしまったルーシーが新天地を得ようと唯一の心の支えと旅をするのに、その結末に涙が止まらなかった。ひとつの街という狭い空間が舞台になっていても、その中を彷徨うことでこんなにも不安を掻き立てるとは。
でも彼女は強いから、きっときっと成功をして失くしてしまったものを取り戻すんだ、とラストシーンで祈る気持ちに。
警備員の叔父さんの心遣い、後半での車屋さんがやっと目線をあわせてくれること、保健所の献身的な捜索・・・何ひとつ確かなことがないようでも、世界は完全にはウェンディ―を見捨てないことに少しだけ救われた。
鮮やかなコントラスト高めの色彩、秋の空気を感じさせる光があふれる画がなんとも美しく、ウェンディ―のささやくような歌声は哀しかった。