足拭き猫

SOMEWHEREの足拭き猫のレビュー・感想・評価

SOMEWHERE(2010年製作の映画)
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ソフィア・コッポラと知らずに観た。夜景がきれいなわけだ~。
「ロスト・イン・トランスレーション」のように自己の置き場所がない人の話。ホテル住まいのイタリア系映画スター。グローバリズムが理解できないくらい教養もないし移民系だという自覚もない。部屋で出張ポールダンス(というものがあるの初めて知った!)をペロペロキャンディーを舐めながら時には無気力に時にはニヤニヤと眺め、ホテル内で目が合った女とはすぐにヤッてしまう。監督が自分の父をモデルに作ったということだが、こんなお父さんだったら嫌だなぁ。
でも徐々に彼の孤独が浮かび上がってくる。好きなことは目いっぱいできるけど全く満たされず、完成していない特殊メイクのようにのっぺらぼうな根なし草。それはいろんな所からやってきたアメリカ人の姿そのものなのかもしれない。
唯一大切にしている娘と過ごす時間を通して自分がいかに大切な存在か気付く。でもその子も母親に捨てられている。親として彼女に対峙しようとする場面の決意の表情。
プールで二人がチェアで寝転がっている場面をだんだんズームアウトしていく多幸感、お洒落でカッコいい音楽オンパレードが気持を盛り上げる。