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ウェンディ&ルーシーのgcpのレビュー・感想・評価

ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)
4.0
イメージフォーラム、21時からなら残業でも間に合うっ!と駆けつけたのに疲れすぎていて着席と共に眠り目が覚めたらエンドロールだった『ウェンディ&ルーシー』普段こんなことしません。なので久々にシネマリンまで赴きリベンジ。無事特集4作全て観ることができた。彼女の作品は目的地はあるのに腑抜けた魂が悪いことぜんぶ吸い寄せてしまってそれに抗えずぐるぐる徘徊し続ける自分みたいでぎゅっと大切にしたくなる。
瑞々しいミシェルウィリアムズ演じるウェンディは、常に不安げで人間でももちろん犬でもない自然界のシステムから弾き出された幽霊みたいに映る。みんな当たり前の顔をして当たり前のルールをつきつけて、保健所のお姉さんだってインフォメーションのみの警備員だって不親切でない程度に冷たい。(警備員はちょっと違う存在になる)それがとことんリアルでくるしい。暗闇に溶けたとて素手おじさんと「俺たち」になれるわけがないし、愛嬌があって賢くてやさしい人に拾われるルーシーのほうが立派に存在価値があるみたいだ。ウェンディ、ちゃんとアラスカに着けるかな、ルーシーを連れ戻せるかな。映画を見終わったわたしは、汽笛の音すらみつからない気分で、とりあえず、とりあえず、と知らない街のマクドナルドにはいるしかなかった。しょっぱいポテト。歩くのは好きなのにどこにも辿りつかない人生よ。というか、そもそもわたしには肝心の目的地すらなかったのだと気づいた。ここではない何処かを目指す必要がないことが幸福とは限らない。システムから抜け出したくなる度ふぬけた魂が甦って誰かが手招きしているようで怖くなる。
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