OASIS

やかまし村の子どもたちのOASISのレビュー・感想・評価

やかまし村の子どもたち(1986年製作の映画)
3.6
家が3軒しかない小さな村、やかまし村で暮らす6人の子どもたちの夏休みを描いた映画。
監督はラッセ・ハルストレム。

スウェーデンの美しい緑の風景とほのぼのとした音楽がやんわりと時間の流れる穏やかな空間を作り出す。
あまりにも長閑すぎて大量に放出されるマイナスイオンに眠たくなってくる時もあるが、子供達が放つ一瞬一瞬の煌めきが目を冴えさせる。

深い森は水の妖精を探す旅の舞台となり、何の変哲も無い川縁は無人島と化し、泥だらけの畑は魔法の言葉が生まれる庭になる。
どんな場所でも、どんな物でも遊技場やオモチャに変化させてしまう子供達の発想と柔軟性は現在(いま)しかない輝きに溢れていて、釣りや肝試しなどの定番の遊びは懐かしさを感じさせ郷愁がダダ漏れになってしまった。

女の子と男の子の違いの部分も微笑ましくて、「女はバカだから」と自分達の行いに自信満々になりながらもまんまと裏をかかれてしまう詰めの甘さというか浅はかさというか、そういう駄目な部分すら愛おしく見えるのは子役達が心底生き生きと演技しているからか。
いや、もはや演技では無く完全なる「素」である。
女の子二人が買い物に行き何度も買い忘れてその度にお菓子をもらいに戻る下りはちょっとくどいが、可愛らしくて「はじめてのおつかい」を見ている様で頬が自然と緩んでしまうではないか。

最初から最後まで特に大きな事件も起きないが、宝探しやザリガニ釣りなど、懐かしの遊びを眺めてとびきりの懐かしさに浸れる映画だった。
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