氷雨水葵

パーフェクト ワールドの氷雨水葵のレビュー・感想・評価

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
5.0
2023年リライト33本目

泣ける映画を求めて

◆あらすじ
ブッチは(ケヴィン・コスナー)は同じ囚人仲間のテリーと脱獄し、押し入った家で少年フィリップ(T・J・ローサー)を人質に逃亡する。

しかし、逃亡するうち、どこか境遇が似ているブッチとフィリップは心を通わせていき―――。

◆感想
ここ最近情緒不安定でずっと泣きたい気分だったので、泣ける映画を探し求めた結果、本作に行きつきました。やっぱり名作。最高のヒューマンドラマ。個人的に泣きたいときは『ゴースト/ニューヨークの幻』を観るのですが、私の「泣きたいときはコレ!」リストに追加しようと思った次第。イーストウッド監督作品で一番好き。ブッチを演じたケヴィン・コスナーはもちろんですが、フィリップを演じたT・J・ローサーの演技が素晴らしい。とくに表情から伝わってくる感じが好きで、ブッチとの友情に涙が止まらない。

そもそもブッチとフィリップは面識がなく、不運な事故で誘拐されたわけですが、2人の境遇が似ていたり、ブッチがフィリップのことを気にかけていたり、実なそんなに悪人でもなかったり、といろんなことが重なって男同士の友情が築かれたというのが良い。
フィリップの母親がエホバの証人という設定らしく、クリスマスもハロウィンも禁止ときた。車のなかでフィリップがやりたい事リストを書いているシーンが印象的で、綿菓子食べるとか、ジェットコースター乗るとか、一種の逃亡生活の最中なのに、こういうシーンは何気にほっこりしてしまう。とにかく2人のやりとりが微笑ましくて、どこから見ても親子なんよな~すごく息が合っていて、あのままドライブを続けていればいつかアラスカに行けたのかなと思ってしまう。

とにかく全編ハートウォーミングで、涙無しには観られない作品。

並行してクリント・イーストウッド演じるレッドとローラ・ダーン演じるサリーら、警察側の動向も描かれますが、こちらもこちらで関係性が築かれ、うまくラストへつながります。

本作の見どころは、ブッチとフィリップの友情が築かれていく過程はもちろんですが、ラストの展開がとにかく良い!フィリップがブッチを撃ったシーンから、木の下で2人で話すシーン、キャスパーの衣装で手を上げて歩いていくフィリップと送り出すブッチ、この一連の流れがとにかく切ない。正直「久しぶりに観て泣けるかな…?」と思っていたのですが、そんなことは杞憂でした。くっそ泣いたんだが。
しかも、フィリップが後ろを振り返ってブッチと手を繋ぎながら歩いているシーンも素晴らしく、この後の展開を考えるともうね、、、涙が止まらんよ。ブッチが撃たれた時のフィリップの表情がたまらない。手を取って抱きしめているのもよくて、めちゃくちゃ切ないし、胸がきゅんとする。感想書きながらでも泣けるくらい名シーンで、2人でアラスカに行く夢を叶えてほしかった…。そして父親になってほしかった。イーストウッド監督の手腕というか、壮大な音楽と演出で視聴者の感情を揺さぶる感じすごいな。

誘拐犯と人質のストーリーなのでシリアスなシーンは少しありますが、それらを除けばすごく上質なヒューマンドラマ。主演2人の演技が素晴らしく、レッドやサリーの立ち位置もよく、ラストシーンに関しては感情の行き場所に困るくらい(いい意味で)。
私みたいに泣ける映画を探している方はぜひ!
氷雨水葵

氷雨水葵