綾

パーフェクト ワールドの綾のネタバレレビュー・内容・結末

パーフェクト ワールド(1993年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

個人的な《いずれ観ようと思っていた名作に触れていこうキャンペーン》第4弾。

他のレビューにもあるように、観ているうちに善悪の区別が分からなくなってくる。たしかに人を殺めることは悪なんやけど、農場のおばさんやフィリップの言うように、ブッチが「悪い人」だとは私も思えない。人を殺めたり物を盗んだりすることは間違いなく「悪い事」のはずなんやけどね…。この感じ、どこかで味わったことがあるなと思ったら…『グリーンマイル』だ。なにが善でなにが悪かなんて、ちっぽけな私にはそう簡単には分からない。

ラストシーン、フィリップがブッチにしたハグに泣いた。善悪も分からなくなってしまったけれど、あの瞬間、2人の間にあった“何か”は、真実だと心から思った。あんなに真心のこもったハグは、ブッチの人生にそれまで無かったものかもしれない。

フィリップの母親が、宗教的理由で息子を制限したからといって、息子を愛していない訳ではない。FBI捜査官が、最後に発砲したからといって、完全な悪人だとは言い切れない。ブッチのろくでなしの父親が、息子に優しいポストカードを送った真意だって、私たちには分からない。父親を憎み、今でもその影に囚われているブッチが、それでもアラスカを目指す理由も。現実の世界は、こんなふうにグレーなことばっかりなんだと思う。

そうそう。やっぱり女優のローラダーンが好き。ほんまにどんな作品でも、“良き理解者”的立場にあるなぁ…(笑) そしてそんな役があまりに似合う。彼女が悪役を演じてる作品ってあるんかな。

フィリップがブッチと手を繋ごうとするのを、ブッチが阻止して、それでもフィリップは手を握りにいって… あのシーンがすごく好きだ。今思い返すと、胸がきゅーっと締め付けられる。

パーフェクトワールドの意味を考えている。
綾