Ricola

港々に女ありのRicolaのレビュー・感想・評価

港々に女あり(1928年製作の映画)
3.9
タイトルから、女性と遊んでばっかりいる男が、全ての愛人たちから復讐されて痛い目にでもあう話かと思ったら、違った笑

笑える上にホロリとくるような感動作だった。


水兵のスパイクは、世界の港町ごとに情婦がいたが、最近は彼のリストの女性たちを奪う男がいた。
それは、同じく水兵のビル。二人は似たもの同士で最初はいがみ合っていたけれど、互いに根がいいので、互いにピンチを救っていたら、いつの間にか友情と信頼関係が生まれていく。

スパイクは特に女に目がないし、ビルは喧嘩っ早い。
だけど子供に二人とも優しかったり、情に厚い。

取っ組み合いの激しい喧嘩のシーンは、銃撃戦のアクションシーンさながらである。
彼らを冷静に見つめる、俯瞰ショットが特に印象的だった。

おぼつかない彼らの歩く足元をうつす。やっぱり二人は似ているとここからもわかる。
足を踏み外して川に落っこちるシーンのコメディっぷりは最高である。
そしてそこのオチも完璧だった。

マルセイユでの移動遊園地にて、飛び込みをするシーンの臨場感ったら素晴らしい。いくつかの角度から映し、このシーンに時間をかけることで、緊張感も生まれる。

そしてやはりルイーズ・ブルックス。
彼女のミステリアスな魅力とその美貌の存在感は圧倒的だった。
キーとなる役柄を演じており、その演じ分けの見事さには、背筋が凍るほどでもあった。

歯切れのよいラストには嬉しくなる。

アクション、恋愛、コメディ、ドラマ、とこれだけの要素が詰め込まれておりながらも、キャラクターの特異さは現代からしても唯一無二で、効果的なショットも多く、ストーリーだけに着目せずとも面白い作品だった。
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