チッコーネ

ゴモラのチッコーネのレビュー・感想・評価

ゴモラ(2008年製作の映画)
3.5
原作者が国外移住を余儀なくされたという、物々しい近年のマフィア映画だが、上層部のキャラでさえ、羽振りの良い雰囲気ではない。
ロケ場面がほとんどだが、まるで開発途上国の物語を観ているようで、イタリアの不景気がリアルに伝わってくる。
個人的に何度も訪れた大好きな国だけに、心が痛んでしまう…。

本作は群像劇で、マフィアとは関係のなさそうな『腕の良い仕立て屋』も登場。
縫製工場までマフィアと繋がり、中国人相手に流血を伴うシェア争奪を繰り広げているとは。
暴力の支配する社会で創造性が奪われていく過程を観るのは、つらかった。

手持ちカメラで俳優に接近する場面が多く、ドキュメンタリーぽい雰囲気も漂う。
あの距離でカメラを見ないように演技するのは、なかなか大変そうだ。