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キング・オブ・キングスのTSのレビュー・感想・評価

キング・オブ・キングス(1927年製作の映画)
3.8
【初のイエス半生の映画】80点
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監督:セシル・B・デミル
製作国:アメリカ
ジャンル:伝記
収録時間:111分
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恐らく世界初のイエスの半生を描いた映画。『十戒』などを世に送り出したセシル・B・デミルの代表作であります。イエスを描いた作品は数あれど、ここまでイエスを神々しく描いている作品は珍しいのではないでしょうか。白黒サイレントなのですが、特にイエスが際立っています。常に光を放っているかのような存在。白黒でここまで表現できるのは天晴です。

今作はナザレのイエスが盲目の少年の目を治すところから、最後の十字架磔刑までを描いています。有名すぎる最後の晩餐のシーンを描いていたり、イエスを捉えたピラト総督とのやりとりも見応えがあります。イエスに対する鞭打ちや、ヴィア・ドロローサにおけるイエスの苦痛の表情などは控えめ。やはりイエスそのものに対しての暴力的な描写をそのまま描くのは避けられたのでしょうか。そのあたりは『パッション』が超越していると思われます。それでも、丁寧に描いている点は賞賛に値しますし、改めてキリスト教の存在の大きさを再確認するとともに、イエスって何者だったのだろうという根本的な疑問が浮かび上がってきます。

宗教を愚弄するつもりは全くありませんが、現実的に見てこんなことができる人間なんているはずもありませんし、そもそもイエスは本当に実在したのか、と言われることもあります。2000年以上も信仰されている宗教でありますから、開祖の存在の有無なんて考えるだけで冒涜に値するでしょうから、そこはもう考えれないとは思うのですが、それで様々な人が動き、歴史を作ってきたのだと思うと素直にしびれます。歴史というのは戦争と宗教でつくりあげられているものだと思います。この二つを抜きにしては歴史を語れないでしょう。

余談ですが、年末年始にヨルダンとイスラエルに行ってきます。今回の舞台にもなったイェルサレムに足を運べるので非常に楽しみです。恐らく一生に一度しか行けないでしょうから噛み締めてきます。
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