お湯

誰も知らないのお湯のレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.3
虐待は暴力だけではない、と思いました。

物語の前半は、お母さんがいなくても
子供たちはそれなりに楽しく日常を過ごしているように見えます。
それはお兄ちゃんやお姉ちゃんの努力あっての、なんだけど、クスッと笑いながら見ることができた。

この明るい部分があるからこそ、対比で後半がとても残酷。
みんな、つらい。本当に

演技がとても自然すぎて、それが心に刺さりました。作品を見る殆どの人が、実際の事件をもとにしていると知っているから、フィクションを見ている気持ちにならず、
怒りや悲しみがこみあげてくる。

近くで見ていた大人達はなぜ、気づかなかったんだろう。気づいてたけど、助けなかったのかな。なんで助けなかったのかな。
と、色々考えてしまいました。
近所のコンビニの店員と同じ程度しか、子供たちに関心がない母親の罪を浮き出す上手い演出でもありました、、

「助けて」の一言が言えれば、全ては変わっていたのに。
だから、長男の中にもきっと罪悪感があるはず……。


子供であるべき時期に、大人になることを強いられ、不安定なバランスの中で生きなければない。その環境が生んだ悲劇が、強いメッセージとともに描かれていたと思いました。
それでも生きていかなきゃならない子供たち……。

ああ悲しい。
実際の事件を、調べてみたけれど、もっと残酷……。
それが狙いのような、映画でもあると思いました。
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