Ginny

誰も知らないのGinnyのレビュー・感想・評価

誰も知らない(2004年製作の映画)
4.0
全員見てください(血涙)

はじめからだめでした。
だめというのは、私の心が怖くて見れないよーと弱音を吐こうとしてました。ぬくぬく育った人間が何言ってんだですよ。
ちゃんと見ました。何回もやだよーやだよーもうだめだーと口に出しましたが、私の一億万倍以上大変で辛い目にあっている子たちがいると思うと、せめて今、目を背けてはいけないと思いました。

柳楽優弥君が、本作でカンヌの最優秀主演男優賞を最年少で獲ったことはニュースで駆け巡り、ずっと知ってました。
ただ、題材がネグレクトということで敬遠してました。
心が弱い人間ですみません。

この映画は、淡々と進んで行き、
だからこそ決定的なショックなシーンはなく、
だからこそ致命的ということがわかるものでした。

ちりばめられた子供たちの母親への妄信。
すがるものがなければ生きる希望を失うからでしょうか、生きる上での本能なのでしょうか。それがまた痛々しくもある。
京子が、ポチ袋の字体から母親がもう見放していることをわかってはいても、母親の服を売られることは容認できない。
心というのは、簡単ではありません。

柳楽優弥君の透き通った瞳。
胸を撃ち抜かれました。これは私の愛してやまない甥の持つ瞳と一緒だと悟ったからです。
「明」になる子は限られています。
真面目で心優しく、周りを労わることができる子だけなんです。
身近な子供でも、「明」になってしまう子とそうでない子、わかります。
だからこそつらくてつらくて何度も目をそむけたくなりました。
この子はいい子なのに、救いがない。
背負わなくていいのに、背負わされている。
つらあ( ;∀;)

対比の描き方が、嫌らしくなく、綺麗に画面に演出されているのが良かったです。
外の階段で、下校時にリコーダーを吹く子たちと明。
手すりひとつで、同じ空間にいても分断される子供たち。
わがままな悩みを持って学校に通うことが当たり前になっている子供たち。
見えていないかのように商店街で明を避ける人々。

すべての子どもを救いたいと思うのならば、
かつて子どもだった大人のケアも必要だと思うんです…
アダルトチルドレン、インナーチャイルド。
根深い問題で、何をどう、簡単にだれかを主犯にしたてあげて終わる問題でもない。
どうすればいいでしょうか。
私たち全員への課題です。
だから全員、見てください。
Ginny

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