ゼルタ

許されざる者のゼルタのネタバレレビュー・内容・結末

許されざる者(1992年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

#許されざる者
これから背負う罪とこれまで背負ってきた罪の精算。これまでの経緯が異なる3人の賞金狙いが人を殺すという事に苦悩する人間劇でした。悪人が悪人を裁く、一体何が正義なのか深く考えさせられる作品。アカデミー賞4部門受賞も納得の西部劇でした。

特に印象深かったのはキッドが初めて人を手にかける所、序盤はあれだけ余裕ぶっていたキッドが実は人を殺すのは初めてであり、自分の犯してしまった罪の深さに動揺します。そして殺したのは自業自得だと自分を無理矢理納得させようとします。

それに対してウィルは俺たちも変わらないと言い放ちます。結局どんな理由であれ、人を殺めてしまったのならば、罪を背負うという考えがこの作品には一貫しています。

ネッドは昔犯してきた罪の重さを知っているからこそ、新たに罪を受け入れる覚悟が出来ず、賞金首のとどめを指せなかったのだと思います。

そしてネッドが殺された事により、ネッドの為に新たに罪犯す事をを受け入れたウィルは酒を飲み、顔つきが明らかに変わります。この表情の転換がイーストウッドが名優たる所以の一つだと感じました。

保安官の言う通り、ウィルは地獄に落ちるのだと思います。それをウィルも理解しているのだからこそ、天国にいるであろう妻の眠る土地に留まらず、移住したのだと考えました。

ストーリーだけみると西部劇によくありがちの賞金稼ぎの物語だと思われるのですが、登場人物の罪の受け入れ方の違いが浮き彫りになった非常に細部まで細かい人間描写が楽しめる作品でした。

p.s. 夕焼けの中を馬に乗って移動するだけで映える俳優はイーストウッド以外に思いつかないほど、似合っていました、、
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