のりしろ

許されざる者ののりしろのネタバレレビュー・内容・結末

許されざる者(1992年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

あらすじ
【急募!】娼婦の仇討ち対応
娼婦の顔にキズをつけたカウボーイを消してくれる賞金稼ぎ募集中!
成功報酬1,000ドル(宿泊、食事代込み)
※特別前金アリ
※交通費はご負担ください

年老いて銃の腕も衰えた伝説的なアウトローのマニー(イーストウッド)
改心して人殺しからただの農夫になったが、自分の子供達を養うために、賞金稼ぎとして再び銃を手に取る。
新米の賞金稼ぎキッドと、昔からの仲間のネッドと共に賞金首が住む町を訪れるが、その町は荒くれ者共も恐れる保安官のダゲットが治安している町だった。
ダゲットに重症を負わされ、生死の境を彷徨ったマニーは、そこで自分が殺してきた者たちや亡くなった妻に会い、己が「許されざる者」であると再認識する事になる。
己の罪と死の恐怖に怯えながらも、賞金首を討ち取ったマニーだったが、捕まった仲間のネッドは保安官の激しい拷問により殺されて死体を晒し者にされてしまう。
仲間の名誉のために、マニーは独り保安官に戦いを挑むのであった。

イーストウッド監督は昔から本当に良い映画を撮るんだなぁ...。
荒野の7人もそうでしたが、勧善懲悪な西部劇とは全く違う作品。
登場人物の立場や見方によって様々な考え方ができる映画だと思います。

若い賞金稼ぎのキッドは、伝説的なアウトローだったマニーに憧れていたが、自分が殺した人間はもう二度と息をしないという事実に衝撃を受け、賞金稼ぎから足を洗った。
昔からの仲間だったネッドは撃つ瞬間に躊躇し、ついに引き金を引くことができなかった。
普通の人間がそうやすやすと「人殺し」なんてできないんだということを見せつけられる。
だからこそ、ラストシーンのマニーには恐怖すら覚える。
悪を罰した英雄なのか、人殺しの狂人なのか、観る側の立場でマニーの見方がは大きく変わってくる。

保安官は暴力的だが治安維持能力は非常に高く、また殺人を行っていないイングリッシュ・ボブは生かしたまま返している。
対して彼ら三人は殺人を犯したのだ。制裁を受けても仕方がなかったのではないか。
絶対的な力で治安を行っていたダゲットをマニーが殺害した事で、その後街の治安は悪くなったのでは?
マニーの行いは復讐という名の悪でしかなかったのだろうか。あるいはー...
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