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モダン・タイムスのTSのレビュー・感想・評価

モダン・タイムス(1936年製作の映画)
3.7
【当時の社会を痛烈に批判した作品】
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監督:チャールズ・チャップリン
製作国:アメリカ
ジャンル:ドラマ
収録時間:87分
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チャップリン公式DVDコレクション第2号は『モダンタイムス』でしたので鑑賞。小学校低学年に見た記憶がないような。。でも感じ方は明らかに違うと思うのでまた見てみました。子どもの時は恐らく単なるコメディ映画としてしか見てませんでした。ところが今見ると全く違うものですね。

とあるベルトコンベア工場で働かされるチャーリー。彼はひたすらナットを締めるだけの作業をしていたので段々とおかしくなってくる。工場内でやりたい放題をした結果追い出されてしまうのだが。。

ベルトコンベアというと、アメリカの大衆社会を象徴するような産物です。人間の幸福を目的として機械化を進めたものの、それが逆効果になってしまっています。ただただ同じ作業をひたすらやり続けるのなんて人間からするとどれほど苦痛であるか。チャップリンはベルトコンベアなどの機械化が人を不幸にするということをいち早くから見抜いていたのですね。

今作はパッケージになっている機械を弄ぶシーンをはじめとして、ローラースケート、ティティナをデタラメ語で歌うところ、最後の夕焼けのシーンなど名シーンが多いです。特に、ティティナを歌うシーンはチャップリンが初めて「肉声」を放った貴重なシーンです。当時、すでにトーキーが普及していた中、チャップリンはサイレントにこだわり続けます。何故か。チャップリンはどうやら、トーキーにすると台詞が発生し、それにより演技が縛られると思ったからだそうです。確かに言語は素晴らしい産物ですが、ジェスチャーで意思疎通が出来るということは過去が証明しています。より自由な表現を。。それを目標としたチャップリンからすると、台詞というのは弊害だったのかもしれません。

結局のところ、今作は機械化する社会を痛烈に批判するとともに、そうして機械化から逃げた人物は何回も牢獄に閉じ込められ、社会から抹殺されるという皮肉を伝えているのだと思われます。『独裁者』といい社会に真っ向から挑むチャップリンのプロ意識はやはり素晴らしいと言わざるをえません。当時は賛否両論だったらしいですが、今ではチャップリンの代表作として名を残しています。
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