ひさかた

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマーのひさかたのレビュー・感想・評価

4.8
世界の境界があやふやになったら。

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良い意味でも悪い意味でも、押井守のうる星やつら。賛否別れるのは完全にそこのポイントだと思います。

映画としては完璧!!!
演出の美しさはさすがの押井さん。作品の構造はもちろんのこと、境界の曖昧さや何を信じればいいかわからない不安定さは完璧。特に学校のところとか超楽しいですね。あと水の描写。
キャラクターそれぞれ特徴が異なる一挙手一投足なんてもう垂涎ものです。キャラクターの目線や顔の向き、髪をいじる仕草とかたまんないです。
こういう日常の美しさみたいなものを非日常の中で表してくれるところ、わたしが押井さんを尊敬してる所以です。

あと、星勝さんの音楽がかなり効果的に使われてます。アニメ映画の音楽の模範解答かも。
冒頭、信号で車が止まった時に横断歩道を横切る怪しい四人組が登場する一連のカット。その直前から彼らの奏でる音楽まで、一気に日常から非日常、そして日常へと戻される高低差。

わたしは原作をほぼ知らないにわかなので純粋に押井作品として楽しめたけど、他の高橋留美子作品の傾向を考えるに原作とは遠いんだろうなとは感じる。
原作も監督も作家性が強い人たちなだけに、まあ感性が違えば相容れないよなと。

と思いつつ、そういう思いすらもこの作品の構造は許容しちゃうというところがとても好きです。だって結局、この作品は本編には一切干渉しないので。あくまで誰かが見ている夢の中。本編のラムちゃんと夢の中のラムちゃんは似て非なるもの、という可能性があるという解釈もできちゃいますね。
ってのは「いや劇場版でやるなよ!」というツッコミでもう何も言えなくなるのですが笑

ともかくすごく好きな作品。2周目行ってきます。
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