ninjiro

勇者の赤いバッヂのninjiroのレビュー・感想・評価

勇者の赤いバッヂ(1950年製作の映画)
3.6
大した導入もなく、ただ兵站に居るから戦場に行くかもしれない人たちの一人。
そりゃ死ぬのは怖いけど、戦争で死ぬのは名誉なんだって聞いた。
遠くの黒点が徐々に近くに大きく迫るに従い、人が走って来る姿と認めて、構える銃身が土に触れ、その高さから下の塹壕にある身体はふわふわと浮き足立ち、よもや戦場にいるなんて感覚はない。頭はここに銃弾が突き刺されば終わりだと解ってはいても、何故こんな所に自分が居るのかを問うのを止めようとせず、精一杯自分を奮い立てる為に思い浮かべる父親からは母親を連想させ、母親からは暖かなミルクと時たまの暖かなご馳走と小さな笑顔と。後は繰り返し、何故、俺たちはこんな所に居るんだ?小さな食事にも神を、どんな小さな恵みにも神を、向こう岸で鳴く穏やかな鳥の声にも神を、動く脚は無くとも鼓動するこの胸にも神を。
噛み締める歯には砂塵の粒子。鼻をつくのは延々と続く硝煙と短い血の匂い。意味なく背負うこの星条旗は自由を象徴してはいないけど、その旗の柄は大好きだぜ。
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