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クィーンのsahoのレビュー・感想・評価

クィーン(2006年製作の映画)
4.2
”私は誰よりも英国民を知っていて彼らの見識と判断を信頼しています。英国人の哀悼の表現は控え目で品位があるのです。世界が尊敬する国民性です”

ダイアナ妃が急逝した直後のイギリス王室の内幕を描いた作品。
世間の狂騒の中で、凜とした態度で女王の立場を貫き続ける。
全編を通してみられる女王の内に秘めた葛藤が泣ける。
特にケンジントンの前でメディアと国民に精一杯の笑顔を見せるシーンと少女にお花をもらい、多くの献花とメッセージを見るシーン。。。胸が苦しくなった。
特に孤高の鹿の姿に自分を重ね、ひとり涙するシーンが印象的。
その鹿の無惨な姿を見て自分を重ね、判断を変えるというこの下りを演じるヘレン・ミレンの穏やかでありながら毅然とした風情がとてもよかった。

ブレア首相も素敵だったな〜。
女王の立場も踏まえつつ、国民の気持ちも汲みながら助言しようとする誠実な姿勢には、好感度がうなぎ上り。
国葬を渋る女王をブレア首相が説得させたのは有名な話だそうで。

説明しきれない英国の歴史が詰まっていて益々イギリスが好きになる映画。
当事者存命中にこんな映画を作っても怒られないイギリスすごい。
日本じゃ絶対絶対無理な話。

1本目 / 2023
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