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ロスト・ハイウェイのmiiのレビュー・感想・評価

ロスト・ハイウェイ(1997年製作の映画)
4.2
これはメモ的レビューにします。
あやふやです。

「ディック·ロラントは死んだ」
最初と最後のシーン···
別人として過去に飛び ディック·ロラントを殺害してからインターフォンを押したフレッド。

妻の殺害のため終身刑を言い渡された彼は独房の中で精神に異常をきたします。
彼の部屋を覗いた看守は 別人になっている事に驚きます。
フレッドを逮捕したにも関わらず 別人であるため 警察はその男を釈放します。

そこから その男ピーターの生活が始まります。
それはフレッドが犯した罪の意識から逃れるための世界。
妻レネエとそっくりなアリスと恋に落ち かけおちを試みますが
ここで妻の愛人と疑わしきアンディも登場し 派手に殺してしまいます。
恨み。

アリスがピーターに強くアプローチしたり
アンディを殺害して金品を盗み逃げようと提案したのは
深層心理でレネエが浮気を仕掛けたアバズレだと思っている事と
自分の元から逃げるかもしれないという恐れからでしょうか。
アリスを囲っていたディック·ロラントは
彼女に気持ちはなくとも強引に繋ぎとめようとしていたフレッド自身にも見えてくる。
そして 煽り運転をされてやり返す凶暴性も
彼には足りない力強さの象徴で
レネエとの関係でも 自分の足りない部分であると認識しているのかもしれません。
妻を殺してしまった懺悔から ディック·ロラント(自分)も消滅させてしまいます。

ピーターもフレッドですが 性の部分で盛んなのは
レネエとの夫婦生活でうまくいってなかったために 願望もあるのでしょう。

次はレネエと視点から。
殺されたレネエの怨念がフレッドにピーターを呼び
彼女の汚れた過去の精算までもフレッドにやらせた。
ポルノの世界に導いたアンディと その世界に貶めたディック·ロラントの復讐も合わせて。
自分を殺したフレッドの手を使って。

白い謎の男はレネエが呼んだ悪霊のようなものなのかもしれない。
だから自宅を自由に行き来できて
「招かれざる客ではない」と言ったのかも。

または フレッドが殺してしまったための恐ろしさから生み出たレネエの分身?
だから「あなたに会っている·家にいる·招かれざる客ではない」
あなたのした事は わたしがすべて知っていると言いたげな ビデオを手にする男は レネエとも考えられる。

ビデオの映像は レネエが見せた幻だったのか?

フレッドへの愛はあったと思う。
「欲しい」でも「あなたにはあげない」と言ったのは
殺されてしまったから。

フレッドのあのラストシーンは
死刑執行時の電気椅子にかけられた姿なのかもしれない。
恐ろしい復讐劇!

フレッドの気が触れたトリップした世界×レネエの怨霊のパターンといろいろと考えてしまったけど
はっきり答えが見つからない。

「ロスト・ハイウェイ」
まっすぐな1本道を疾走しているかのようですが
彼は既に道を踏み外していた。

これも観た後に想像を掻き立てられる面白い作品でした。
デヴィット・リンチワールドに浸ったわ。
考えれば考えるほど 彼の術中にはまりました!





2021/06/16 再鑑賞
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