ヤマト

冷静と情熱のあいだのヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

冷静と情熱のあいだ(2001年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 愛の修復 】

 数多の芸術作品を復元させていく修復士の話。まずこういう職業に目を向けられる映画の素晴らしさに感謝。そしてこの作品自体が藝術作品である。もちろん本作に限っては修復不要。ずっとこのままの美しさで語り継がれてほしい作品だ。
 冒頭からその根拠がある。竹野内豊さんの演技と声、透き通るような音楽とオシャレなフィレンツェの街並みに一気に引き込まれた。感動したのはもちろん、記憶をなくしてもう一度あの感覚を味わいたいくらいに。そうだ、あの時の感覚を修復してもらいたい。ケリー・チャンのファーストカットの美しさも忘れられない。
 印象的なのはスマフォはもちろん、携帯電話を使用している人がいないこと。時代的な背景もあるのだろうがすごく自然で、またそれが美しかった。あとは部屋がオシャレだ。ミラノの部屋も東京の部屋も。

 最後順正は、愛しの人との愛の修復を果たした。技術は不要だった。互いの記憶と信頼で過去を塗り替えたのだから。現実の儚さと奇跡が起こるラストの振れ幅がたまらない。決してフィクションとも思えないのがまた不思議。
 最も大切な愛の修復に必要なのは、冷静と情熱のあいだにあるあの時の約束。すなわちあのときの約束を守ることだったのだ。
ヤマト

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