Mikiyoshi1986

小人の饗宴のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

小人の饗宴(1970年製作の映画)
4.1
ニュージャーマンシネマの異端児・ヘルツォーク監督が28歳で撮ったという小人の暴動映画。
施設に収容されている小人症のおっちゃんおばちゃん達が、日頃の鬱憤をぶちまけるように園内で破壊の限りを尽くします。

徐々に見境を無くしていく傍若無人な大暴れぶり。
悪質ないたずらは、もはや罪悪感の欠片も感じさせない突き抜けようです。
むしろそんな無秩序の中でやりたい放題な彼らが物凄く活き活きしてて、愛らしく思えてくる。
みんな一見子供みたいだし、自分の腕白だった幼少時代を思い出しました。

そんな荒唐無稽な内容にも関わらず、見終わった途端なぜかじわりと心に響くものは一体なんなのでしょうか。

偏見の眼差しで見られがちな小人をあえて出演させることで、我々が持つ差別や醜悪の意識を取っ払い、凝縮化された人間社会の隔たりを痛烈に暴き出すことに成功したヘルツォーク。

この逆説的な意味合いをドイツが歩んできた歴史と照らし合わせながら観るのも面白いかも知れません。

改めてヘルツォークの変人ぶりが窺える問題作です。
Mikiyoshi1986

Mikiyoshi1986