2024年8月30日 19:00～ tvk 字幕
狙いは、おそらく、カフカの城のような不条理な社会や組織なのだろう。目的、それも些細な目的なのだが、を達成しようとするのだが、堂々巡りで達成できないのだ。近付いているのか遠ざかっているのかすらわからなくなってしまう。それはそれとして、冒頭の子どもの泣くシーン、あれは、本当に泣いたのだろうな。子どもは演技ができない。たしか、イタリアネオレアリズモの自転車泥棒だかは、実際に子供を泣かせたらしい。いまならコンプライアンス的に無理なシーンだ。
簡単にあらすじ。
ある日の小学校。小学生、モハマッドが先生に叱られまくっている。宿題をノートに書いてこい、言うただろー、ゴラアアア！ いいか、ノートに書いてあれば、ああ、一昨日はこうやった、昨日はこうやった、って、見直せるじゃんかよおおお、これで三回目だぞ。こんど忘れたら、退学させるぞ、わかってんだろうな、なんか言ってみろ。
モハマッド。ビエエエエエエン、従兄弟の家に忘れてしまうんだお、もう、しません、退学だけは勘弁してくれろ。
隣に座っていたアハマッド。先生、こえええええ、っていうか、なんだこのネチネチした叱りっぷりは、ハンパねええええドS先生だ。
アハマッド。家に帰ると、さっそく、宿題を始める。あれ、ノートが二冊あるぞ。ヒエエエエエエ、これって、モハマッドのノートじゃんか。間違って、持って来ちゃったよ。よりによって、なんだよ、このクソまぎらわしいノートは。
かあちゃん、モハマッドのノート、持って来ちゃった。モハマッドに返してくるよ。
かあちゃん、なに寝言いってだ、洗濯手伝え、子守しろ、そのあとパン買ってこい、その前に、宿題終わらせろ、わかったか、ゴラアア！
アハマッド。トホホホホ、どうすんだよ、そうだ、こうなったら、トンズラー。すきを見て、家を抜け出し、モハマッドの住んでいる隣村へ。
うううーむ、来てみりゃあ、なんとかなると思ったが、甘かったな。もうろくばばあは、なに言ってんだか、わからねええし。
え、なんだって、モハマッドは親父といっしょに、オレの住んでいる村に行ったんだって、なんだよ、無駄足じゃんかよ。
自分の村に戻ってきたアハマッド。
じじいに聞いてみる。あんだって？ それより、タバコ、とって来い！ 逆らうと、ぶん殴っぞ！
隣に座っているじじい。おめえ、自分でタバコ、持ってんじゃんか。
じじい。ああ、持っているよ。子どもってえのよ、こうやって、言いつけるのがいいんだ。
などとやっているうちに、モハマッドの親父らしき男は、隣村に戻っていった。親父を追っかけるアハマッド。
なんだ、また、逆戻りだ、これこそ、不条理だぜ。
へんなじじいに振り回されているうちに、夜になってしまい、家に帰るアハマッド。
翌日、宿題を確認してまわる先生。ビビりまくりのモハマッド。そこへ、すかさず、アハマッドは、二冊のノートをカバンから取り出す。
そのうちの一冊をモハマッドの前へ。しかも、モハマッドの分の宿題もやってあったのだ。
ふえええ、助かったああ、とモハマッド。
面白いのは、アハマッドが家に帰ると、かあちゃんに怒られるのかと思ったが、まったく、そんなことはないということだ。
