よーだ育休準備中

トランスフォーマー/リベンジのよーだ育休準備中のレビュー・感想・評価

3.5
メガトロン(ディセプティコンの首領)を撃破したオートボットと合衆国軍は《特殊部隊N.E.S.T.》を組織して世界各国に散らばったディセプティコンの残党を協同で追跡していた。オートボットの総司令官オプティマス・プライムは上海で大型ディセプティコンの撃破に成功するが、敵は死に際に「ザ・フォールンが蘇る」と不吉な台詞を言い残す。


◆ I ADORE you.

前作に引き続きSteven Spielbergが製作総指揮を、Michael Bayが監督を務めて製作されたSFアクション大作『トランスフォーマー』の続編。前作で我々を大いに驚かせてくれたマシンのトランスフォームシーンは、迫力こそ健在であるものの「それ」に対する新鮮さは失われています。慣れってコワイ。

ですが、それでも前作を凌ぐスケールの大きさには圧倒されました。登場するトランスフォーマーの種類が前作の十数体から六倍近くに跳ね上がる大盤振る舞い。双子のオートボットや、ピラミッドと遜色が無いほどの巨躯を持つディセプティコン。長い休眠から目覚めた老兵や、ヒロインのMikaela(Megan Fox)に手なずけられた可愛らしいディセプティコンなど。数だけでなくキャラクターのバリエーションも豊富でした。


◆ That's not word I wanna hear right now.

作品の舞台も前作からスケールアップ。上海から幕を開けた今作は、インド洋上のディエゴガルシア島、北大西洋、エジプト、中東ヨルダンのペトラ遺跡とワールドワイドに展開していきます。

物語の終盤、ペトラ遺跡で鍵となるお宝アイテム《プライムのマトリックス》を探すシークエンスは、シリーズ作品の製作総指揮を務めるS.Spielbergがかつてメガホンを取ったアドベンチャー大作『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』を彷彿とさせるものがありました。

その他にも、空母から戦闘機が発艦するシーンはアングル等も含めて『トップガン』の様でしたし、キューブにあてられてオールスパークの情報を脳に書き込まれてしまったSamが、メガトロンからイカのような小型マシンを体内にねじ込まれそうになるシーンは『マトリックス』の冒頭を想起させます。地元から遠く離れた大学へと一人で進学したSam(Shia LaBeouf)に近寄る美女型ディセプティコンはまるで『ターミネーター3』に登場する殺人マシン『T-X』の様でした。

ウィットに富んだコミカルな演出はそのままに、往年の名作たちへとオマージュを捧げたようなシーンがさりげなく散見された部分は好印象です。

それよりもSamくん。大学に進学するタイミングで車を手放すことになるのであれば、前作で半ば強引に父親に車をねだっていたのは今にして思えばどうかと思うんだ。


◆ It took all this for you
ー to tell me that you love me.

前作ではボーイ・ミーツ・カーのサクセスストーリーが描かれていたのに対して、今作では主人公であるSam Witwickyが真にヒーローの仲間入りを果たしたような描かれ方をしています。

愛する彼女がいながら、新生活に胸を踊らせるSam。(Mikaelaには申し訳ないが、これはやむを得なかろう、、、)

オートボットと合衆国政府との間に生じた微妙な軋轢を埋める潤滑剤になって欲しいというオプティマス・プライムの要請を跳ね除けて《普通の生活》を望むSam。(オプティマス・プライムには申し訳ry)

物語の中盤までは、そんな「人間くささ」を見せていたSamが、最後の戦いにおいて『絶望的な状況でも最後まで諦めない姿』を見せたことが歴代プライムたちから賞賛されていました。ややありきたりな少年漫画テイストの熱血パターンでしたが、これはこれで良かったです。

個人的MVPはそんな勇敢さを見せたSamよりも、都落ちしてなお野望の火を滾らせていた元セクターセブンの捜査官Simmons(John Turturro)。嫌味なオジサンでしたが、今作で見せた雑草魂には好感が持てます。


JAXAとタカラトミーが共同開発した最新の月面探査ロボット《SORA-Q》に、変形玩具トランスフォーマーの技術が活用されているというニュースを耳にしました。ホットなトピックに思わず反応してしまいましたが、宇宙からやってきた設定の玩具が、実際に宇宙開発に活用されるというのは何だかロマンがありますね。