OkadaMasakimi

レスラーのOkadaMasakimiのレビュー・感想・評価

レスラー(2008年製作の映画)
4.0
最後のリング入りが切ない。自分の居場所はここしかない。レスラー同士の友情や、ファンの歓声があるから奮い立てる。自身の生き様を貫いたカッコいい幕切れなんだが、そこに至るまでは淋しい展開が続く。

レスラーとしてしか生きられない男への死刑宣告に始まり、惣菜売場の仕事を増やしたり、娘との関係をどうにか改善しようとする姿は、冒頭で描かれた華やかなランディの姿とはかけ離れていて、リングの上と俗世の乖離を強く感じさせる。引退を間近に感じてようやく、気づいたら時代に取り残されていることに気づく。ファミコン中のCoD4についていけない話や、有名選手のサイン会場の閑古鳥っぷりがなんとも物悲しい。

最終的にどうなったかは深く語られず、どうやっても選手生命は短いが、ここまでカメラを通して1人の男の背中を見てきた。不器用で満身創痍だが、強く生きている。だからこそ、最後の必殺技”ラム・ジャム”に込められた色々な思いに胸を打たれる。
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