荒野の狼

ワルキューレの荒野の狼のレビュー・感想・評価

ワルキューレ(2008年製作の映画)
4.0
1944年に起きたヒトラー暗殺計画「7月20日事件」の中心人物シュタウフェンベルク大佐をトム・クルーズが演じた2時間の作品。派手なアクションなどはないが、歴史的には、その詳細はドイツ国外では知られていない事件だけに、暗殺にむけての緊張感は高く飽きさせない。
クルーズは1962年生まれであるから本作公開時の2008年では46歳で、実在のシュタウフェンベルクは36歳で死亡しているので、役柄より10歳年上となるが、若々しく違和感はない。シュタウフェンベルクはドイツでは英雄だが世界的には認知度が低かったため、本作を彼の功績を紹介するものとなった。しかし、ドイツ国内ではクルーズが信仰しているサイエントロジーはカルト宗教とみなされているため、クルーズがドイツの英雄を演じることには反対があった。
この暗殺事件は、過去には1951年のアメリカ映画でロンメル将軍を描いた「砂漠の鬼将軍』(The Desert Fox: The Story of Rommel)でも扱われているが、シュタウフェンベルクは暗殺場面でのみ登場しエドュアルド・フランツが演じているが、当時49歳のフランツは映画では不気味な印象しか残していない。「ワルキューレ」は、この点でもシュタウフェンベルクのイメージの回復になった。ちなみにロンメルは同事件での関与が疑われて、ナチに自殺を強いられたが、「ワルキューレ」にはロンメルは登場しない。
荒野の狼

荒野の狼