みかんぼうや

冒険者たちのみかんぼうやのレビュー・感想・評価

冒険者たち(1967年製作の映画)
3.8
本作、20年前に一度観ていたつもりだったが、これだけ余韻の残るラストを、最後まで観て全く思い出せなかったということは、おそらく初鑑賞だったのかもしれない(きっと別のアラン・ドロン出演作と勘違い)。

レーサーとパイロットの2人の男と芸術家の1人の女が、それぞれの道で失敗し、一攫千金を求めて宝探しに出る、という設定。そこでの出会い、友情、別れを描く物語だが、その設定、展開は、よく言えば王道、悪く言えば他の映画でもいくらでもありそうな話。だが、哀愁漂う音楽やブツ切りの場面転換も含めた印象的な映像構成と独特のテンポ、そしてなんと言ってもアラン・ドロンを筆頭に男女3人が魅力的で、“雰囲気で持っていかれた”作品だった。

とは言っても、私がとても苦手にしている“ひたすらお洒落全開だが物語性が薄い”雰囲気映画(一部ヌーヴェル・ヴァーグ作品や「恋する惑星」など。好きな方、ごめんなさい!)とは異なり、冒険、友情、別れといったかなり分かりやすいテーマが物語の核になっているので、独特の雰囲気を味わいながらも、物語もしっかり楽しめ、一つの作品として総合的に好きだった。

フランス映画らしく、説明的な表現が少なくバンバン場面が切り替わっていくので、最初はテンポについていくのにやや必死だったが、その中でも着実に紡がれてゆく3人の友情が伝わり、だからこそ後半3人に起こる出来事がなんとも言えぬ虚しさを余韻として残す。

しかし、アラン・ドロン、髭面もまた、最高にカッコいいな~。以前、母が人生で一番好きな俳優と豪語していたのも納得です。
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