マヒロ

遊びのマヒロのレビュー・感想・評価

遊び(1971年製作の映画)
2.5
複雑な家庭の事情から辛い状況に置かれた2人の少年少女が偶然出会い、刹那的な逃避行の旅に出る……というお話。

増村保造監督が大映で最後に撮った作品とのこと。今観られる増村監督を順繰りに観てきたんだけど、後年になるにつれてどんどん演技が大袈裟になっていくように思えて、その大仰さがついに極限まで行ったような感じがする。もう登場人物全員がセリフの一言一言をハッキリ抑揚付けて喋ってる感じで、なんて事ない会話シーンでも耳の遠い老人に話しかけてるみたいにハキハキ喋ってるので、これだけで若干辟易してしまった。この演出、増村監督のやり方が変わってきたのか、それとも過去の俳優達がそれを気にさせない演技をしていたからなのかは分からないが、とにかく異様と言っても良いレベル。

そこら辺抜きにすれば、全く先の見えない破滅的な逃避行というのは面白い題材で、2人とも金も目的も無くただこの場・この状況から逃げ出したいという一心のみで動いており、ラストでは穴あきのボートでも構わず大海へと漕ぎ出して行ってしまう。もちろんなりふり構わない2人だけの世界というのはエモくて良いし、この後監督の古巣である大映が無くなってしまうということを考えると、何となく増村監督の心境がリンクしている描写のようにも見えてきてよりエモーショナル。そう考えると、前述のイヤに大袈裟な演技も、終わりを悟ってヤケクソになってるからな気もしてくる。

(2019.273)
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