オレンチ

マレーナのオレンチのレビュー・感想・評価

マレーナ(2000年製作の映画)
3.0
もう一つジュゼッペを。
今よりもずっと若いモニカ・ベルッチを観たいのが真の目的です。

第二次世界大戦下、戦争未亡人となったマレーナの半生を、彼女に一目惚れした青年の目を通して描いた作品です。


◼︎孤高の女性。モニカ・ベルッチの存在感

戦争未亡人マレーナを演じるモニカ・ベルッチですが、セリフはほぼ無いと言ってもいいほどにも関わらず、気高さと言うのか、凛とした姿の存在感は圧倒的です。
ただ歩いているだけのシーンなのに、美しくもあり、悲しくもあるそのオーラは正直すごいです。
真の目的のために選んだ作品としては正解でした。


◼︎青年の熱き恋!というか…

冒頭でも述べたように、本作はマレーナに心を奪われた青年レナードの目線で描かれます。
"心を奪われた"という表現がピッタリで、マレーナとの情事の妄想をパロディチックに描きます。
これが雰囲気を暗くし過ぎないようコメディ的な部分を担っていてます。これが結構露骨な描き方で、思春期の中学生!って感じです。
この妄想に付き合ってくれるモニカ・ベルッチもまた美しかったです。
ただ、レナードの行動は正直行き過ぎというか、見る人が見たら気持ち悪く感じるかもしれません。だってどう見てもストーカーでしょあれ。


◼︎群集心理と真実(ネタバレ有り)

本題に入る前にジュゼッペは溜めて溜めて、最後に感情が込み上げるものを作るのが上手いですね。
マレーナは美しさが故、街の女性達に忌み嫌われ街に出れば嫌味ばかり。
夫の戦死を境に生きて行く為、ナチス相手に体を売って生活します。これがさらに女性達の反感を買うこととなり、ドイツとの戦争が終結した瞬間、女性達の怒りは爆発し、マレーナはリンチを受けることとなります。
こういった光景は、終戦時よくあったようで、戦争映画では度々目にします。
『バンドオブブラザーズ』のワンシーンなんかも印象的でした。

暴力に働く群集心理ほど見苦しくヘドが出るものはありません。
がしかし、そう思うのは映画がそう思えるように上手に導いてくれるからであって、自分では気づかないうちに見苦しい側に回ってしまっていることがあるのかもしれません。
だからこういう作品やシーンは見ていて辛くとも貴重なのだと思うのです。

一方でやってることは正真正銘ストーカーなレナードですが、発情してはいるもののマレーナに対する気持ちは真面目でまっすぐな為、いつの間にか応援したくなるのですよ。
結果的にマレーナの苦労を誰よりも理解しているのはレナード青年なわけで。

決してリンチをした女性達に制裁があるわけでも無いですが、妄想ではなく初めてレナード青年の気持ちがマレーナに伝わった瞬間、涙が溢れ出てくるわけでは無いですが、なんとも言えない感情が込み上げてきました。
僕の中ではクソ野郎どもに罰を与えるのがどうでもよくなるほど気持ちのいいラストで、深く目に焼きつくマレーナの後ろ姿でした。